Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE 備忘録

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お久しぶりです。

2022年10月15日(土)、行ってまいりました、Fujii Kaze LOVE ALL SERVE ALL  STADIUM LIVE@Panasonic Stadium Suita へ。

先日のホールツアーはチケットがご用意されなかったので久々の風さんのライブ。

風さんにとっては2度目のスタジアムライブ。でも有観客でやるのは初のスタジアムライブ。こんなにもお祭り感満載なスタジアムライブになるなんて。

しかも吹田のスタジアムを音楽イベントとして利用するのは藤井風さんが初、とのこと!!凄い!おめでたい!こけら落としじゃないか!

ということで、レポのようなちゃんとしたものは書けないので(笑)、自分用の備忘録みたいな気持ちでライブ前のあれこれ含めだらだらと書いていこうと思います。

 

開場前

スタジアムライブは夏フェスでしか行ったことがなかったんだけど、開場前からこんなにもスタジアム周辺一帯が藤井風一色のお祭り会場みたいになるなんて凄い空間だなぁと思った。

ここにいる数万の人達(3万人×2日間だったようですね)、みんな藤井風さんただひとりを見るために集まったんだよなぁと思うと感慨もひとしお。

 

しかし本当に真夏だったね……「雨降らないでほしいなぁ。晴れてほしいなぁ。」とは思っていたけれどもまさかここまで晴れるとは。10月中旬なのに昼間はさながら夏フェス(笑)

 

万博記念公園駅を降りてからスタジアムに向かうまでの道中が藤井風ロードになっていて、風さんの神秘的なお写真ののぼりが大量に飾られていて撮影スポットになってた。私も浮かれてのぼりと写真撮ったので実質風さんとのツーショットをゲットです(違う)。

 

今回、グッズ購入は抽選整理券方式。

事前に整理券を申し込むと抽選で整理番号が配布されるシステム。自分の順番が来たらQRコードが送られてくるので物販ブースに入場できるという流れ。

私は5000番台だったので午前中のうちにQRコードが送られてきてグッズの売り切れもほぼなく、長蛇のグッズ列に並ぶ必要もない今回の方式はかなり画期的で良かった。ただ、整理番号が完全抽選なので番号が後ろだと買う頃には売り切れちゃってる人もいたのかな…?

ちなみに私がグッズ購入した時間帯に風さんたちがリハーサルしてたようでガッツリもガッツリ音漏れしててテンション爆上がりでした。

 

私はお昼頃に会場到着し、グッズ購入→行けそうだったら飲食ブース行こうかな〜みたいな気持ちだったんだけど完全に甘い考えだった(笑)

物販は良かったのだが飲食ブースは整理券も何もないので長蛇の列。しかも10月中旬にあるまじき灼熱……

覚悟決めて並べばちゃんと時間内に飲食ブースも行けたとは思うんだけど、気候に勝てる気がしなくて諦めました…笑

 

開場後

私の席は16:00以降に来てね!な席だったので15:30過ぎに会場近くのららぽーとを出て16:00頃に会場に着く計算。グッズ購入のために一度スタジアム前まで行ったおかげで距離感が分かって良かったかも。思ったよりもスタジアムまでが遠いのよ。

 

そして入場。念のためお手洗いへ。

お手洗い事情とか全然興味ない人の方が多いとは思うんだけど、私はライブ会場のお手洗い事情が結構気になる人間なので備忘録として書いておきます(笑)

アリーナ席だったんだけど、吹田のスタジアムはおそらく音楽イベントで利用することを考慮して作っていないこともあってアリーナ席とスタンド席の往来ができない構造(サッカースタジアムなんだからそれはそう)。つまりアリーナ席は既設のトイレがないので全て仮設トイレ。その代わりトイレの数は1箇所につき60個くらいあった。内訳は50個女性用、10個男性用、くらいな感じ。男女比が分かりやすい(笑)係の方が「逆サイドにもお手洗いありまーす!」みたいなことを言ってたからトイレは2箇所くらいあったのかな?トイレ列は大行列だけれども60個もあるので回転は早い。今時の(?)仮設トイレなので普通に綺麗だし支障はなし。手洗い場も当然仮説な訳だが、それは良いとして、このご時世なので石鹸を置いてくれたら助かるな、もしくはお手洗いの出口にアルコール消毒を置いてくれたら助かるなと思いました(文句が細かい、そしてお手洗いトークが長い)。

アリーナはサッカースタジアムとして使っている時は一般客が入れないエリアだと思うので貴重な経験なのかも!と思った。

 

そして着席。一応余裕もって入ったつもりだったんだけど、着席したら定刻の10分前とかで全然余裕なかった(笑)

で、私の席なんですけど、アリーナのなすびブロックでした。一番後ろのブロック(号泣)

それはそうとアリーナのブロック名が可愛い。だいこん、にんじん、かぼちゃ、れんこん、きゅうり、なすび。ブロック名呼ぶだけでほのぼのしちゃう。

 

17:15頃 開演

パッと見ではちゃんとお客さん入ってるように見えたけど、直前のトイレ列を考えると入りきってないんだろうな、という感じだったから15分押しは想定内だった。単純にお客さん入りきってないパターンの開演押しだった気がする。

そして開演。開演直後に絶望がやってきた。

見えない。何も見えない。モニターだけかろうじて見える。

ステージがかなり豪華なフルスクリーンだったおかげで風さんの動向が分かりました。モニターに感謝しかない。

約2時間のライブ中、人々の隙間から肉眼で米粒サイズの風さんを拝めたの、リアルに10秒くらいだった(号泣)

1曲目から最後の曲まで、私の文末にはもれなく(モニターでしか見えてないけど)の気持ちがついてますし、実際モニターでしか視覚情報を得られていないので不正確な情報も含まれますことをご了承くださいませ…笑

私は元々アリーナよりスタンド派の人間でして、なおかつ1度しか入れないライブでアリーナ後方を引き当ててしまったことにかなりの絶望を抱いて序盤は「ちょっと立ち直れないかも……」と思っていたのですが、それと共にそこまで絶望できるオタクとしての自分に何故か安堵した部分もあって。最近オタクしてる中で何かモヤっとする案件があっても諦観を身につけてしまって「まぁそんなものか」と割と何でも飲み込みがちで感情が常にフラットというか凪の状態だったので、久方ぶりに感情が激しく揺れ動いた気がして「わぁ〜今オタクしてるな〜」と思えたというか。ネガティブにポジティブを見出すという謎のポジティブマインドを発動できたので私は大丈夫です(笑)

 

ということで、気を取り直して

1.何なんw

早速すみません、登場を見れてません(笑)

なんか教祖みのある凄い登場方法だったらしいじゃないの。

ちなみに、風さんの姿が全く見えないことにショックを受けて大好きな「何なんw」の前半の記憶がありません(笑)

でも衣装の衝撃はすごく覚えてる。教祖…?お釈迦様…?てかガンジー…?ってなったから。

なんて言うんだろう、白いつなぎにベージュの布を斜め掛けしてて、あまりにも"降臨感"が強かったし、「これはもう完全に教祖になろうとしてませんか??」って感じでどうしたって己についてまわってしまう"教祖感"をあえてネタにしてる(?)のが面白かった(笑)

2番あたりで階段を降りる風さんがモニターに映り「え!?階段あんの!?」と驚き、終盤で花道を歩く風さんがモニターに映り「え!?花道あんの!?」「え!?花道の先にピアノあんの!?」と大興奮の私(立ち直りが早い)。やっぱり「何なんw」ラストは風さんのピアノがないとね。

スタジアムライブが「何なんw」で開幕するの、激アツじゃん。やはり「デビュー曲を作ろうと思って作った」のが「何なんw」なの本当に凄いなと思った。こんなにも名刺代わりになる曲を作ろうと思って作れる才能に改めて惚れた。

 

2.damn

イントロのベースがかっこいい〜!

モニターにバンドメンバーさんが映る度に何故か「あ!○○さん、お疲れ様です!ありがとうございます!」の気持ちになる。

MVラストと同じ表情してた。

 

3.へでもねーよ

生尺八!!めちゃくちゃ痺れる。

特効(炎)が上がってた。

 

4.ガーデン

中央のモニターには風さんがガーデンにいるMVっぽい映像が流れる。ガーデンと言いつつ洋風のガーデンじゃなくて和風の庭園みたいに見えたんだけどちゃんとモニターが見えた人、どうでした??

「ガーデン」を歌ってた時間帯、ちょうど夕空ですごく良かったんだよね。

風さんが野外の空の下で「空の果て」と歌い上げる様子があまりにも神々しくて思わず拝んだし、「空の果て」と歌われて空を見上げるとそこには綺麗な夕空があるわけで。なんと心が洗われる空間であることか。

私は「ガーデン」という曲がすごく好きで。ガーデンは広義で人生のことだと思う。人生って「帰ろう」のMVのように道みたいなものだと思ってたの。でも「ガーデン」を聴いてからは「道みたいに前に進むか後ろにさがるかだけじゃなくて立ち止まってそこに留まることも人生で、自分の庭園で生きたお花を育てたり手入れするみたいに愛でて豊かにしていくことも人生なんだよなぁ」って気付けたというか。

花が枯れることもあって、でもいつかまた咲いて。雨が降ることもあるけど雨も植物にとっては養分になって。愛情を注いでお世話をすればその分華やかで豊かなお庭になる。誰かから素敵なお花を貰うこともあれば、綺麗に咲いたお花を誰かに分け与えることだってあるかもしれない。それって本当に人生と一緒だなぁって。

新しい"人生"の解釈を教えてくれたこの曲を野外の壮大で綺麗な夕空の下で歌われたらあまりにも尊くて、ついつい拝んでしまった。

 

5.やば。

わたし的お墓参りに行くときに聴きたい曲ランキング堂々第1位のこの曲(なんと特殊なランキング)。

ベンチとダンサーさんがふたり出てきた。

「やば。」もめちゃくちゃ好きな曲。初めて生で聴いて、音源よりも生で聴いた方がかなり歌い上げてる印象が強くて、歌うのにエネルギーが必要な曲なんだなぁって感じた。

 

6.優しさ

最初「え?何の曲?知らない曲?」と思ったけどよく聴くと「優しさ」だった。

ピアノメインの原曲からかなりアレンジされてた。

風さんがピアノを弾かない「優しさ」は初めての経験なので新鮮。

 

7.grace

「新曲やります。この曲だけはスマホで撮影OK。でも明日のライブが終わってからSNSにあげてね。」と言われ慌ててスマホを取り出した。ライブに来れない人にも届くようにという優しさでもあり、新曲のライブパフォーマンスという引きの強いSNS上プロモーションでもある。

誰かがあげた動画きっかけでSNSで新たに風さんに出会う人がいたら嬉しいな。

「grace」がリリースされた時、「こんな讃美歌みたいな荘厳な曲を野外ライブで聴く空間なんて正真正銘のセラピーになるじゃないか……」と思ったのだが、実際にはスマホで撮影しながら見るというかなり現代的な空間になったのがちょっと面白かった。普通に真面目に「grace」をパフォーマンスしたら何がどう転んでも宗教感というか教祖感が出てしまうだろうなと思っていたので、これは強すぎる教祖感を霞ませるための策でもあったのかもしれない(多分違う)。

スマホで撮影しながらスマホの画面を見つめるのは勿体ないなと思ったので、片手でスマホを構えて視界の片隅でアングル調整しつつ、肉眼に生の「grace」を焼き付けることに集中した。

後で自分が撮った動画を見返すと、肉眼では全く視界に入ってくれなかった実物の風さんが人々の隙間から一瞬映ってた。ありがたや。

しかしながらその一瞬以外はひたすらモニターを撮影した動画だったので「これはまさに偶像崇拝なのでは……」という気持ちになるなど。

私が思う風さんの凄いところは、絶対的に藤井風じゃなければ表現できない音楽を表現していることだと思う。人間性・精神性・思想性全て込みで藤井風にしか歌えない歌。「grace」はまさにそういう曲だと思う。風さん自身はいつでも「みんな同じ」と歌っているんだけれども。

自分を愛すること、自分を尊重すること、"自分を愛すること"と"他人を愛すること"は両立できること、そして、生きていく中で悲しいことや後悔することがあってもそれは全て自分の財産となり、いつかそれらへの執着を解き放てる時が来ること。大切なことは全て藤井風が教えてくれた……

これは私の解釈なので風さんはそんなつもりで作ってないかもしれないんだけど、「grace」は「何なんw」のアンサーソング的な要素ありませんか…?「何なんw」がハイヤーセルフから自分に向けた曲ならば、「grace」は自分からハイヤーセルフに向けた曲。厳密に言うと"アンサーソング"というよりかは"対になっている曲"という感じがして。

でもそれだけじゃなくて「grace」には聴衆をまるっと包み込む凄まじい包容力がある。「何なんw」には「何なんw」の魅力が当然あるけど、「grace」はまた何段階も大きくなったものを感じる。藤井風の凄味、ここにあり。

 

8.帰ろう

grace終わりで耳馴染みのない音が流れる。スクリーンには古代の壁画みたいな(?)民族っぽさ溢れる太陽の絵。

なんかボサノバチックなサウンド。歌い始めて「帰ろう」だと気付く。何故ボサノバ調なのだろう(ボサノバの定義を知らないのでこれはボサノバじゃないのかもしれないが……SNSでレゲエアレンジって言われてるのは見た)。

「帰ろう」に関しては私はオリジナル強火担なので「野外ではオリジナルの帰ろうが聴きたかったなぁ」と思ってしまった(小声)。これはもう「帰ろう」が私の人生ソングだからそう思ってしまうだけなので、アレンジを批判しているつもりはありません(笑)単に私の思い入れが強すぎるだけ。

それと同時にオリジナルの「帰ろう」をあのアレンジにしたYaffleさんへの感謝と恩が募った。風さんは元々あの壮大なアレンジを想定していなかったみたいだから。なので、今回のレゲエアレンジ(?)もYaffleさんがしたのならそれはそれでレアだし楽しまねば!と思いながら見てた。

「帰ろう」もあの空間でオリジナルをやると何がどう転んでも宗教感というか教祖感がきっと出過ぎてしまうもんね。強すぎる教祖感を霞ませるための策でもあったのかもしれない(2回目の謎理論)。

でも「帰ろう」が終わった直後、後ろの席から「え、つらい。なんでアレンジ…?」っていう声が聞こえてきて「その気持ち、分かります……」ってなった。

 

9.さよならべいべ

さよならべいべ!?今何時!?って思わず時計を確認してしまった。全然終盤じゃなくて安心した(笑)

安定の盛り上がり曲。みんなで手を振るのが楽しい。

 

ここで「疲れたじゃろ。座ってええよ。」と着席させてくれる風さん、有難い。そろそろ腰が痛くなる頃なのです(笑)

10.ロンリーラプソディ

風さんのピアノソロ。なんと美しい旋律か。一生聴いていたい、と惚れ惚れしていると「ロンリーラプソディ」が始まり大興奮。わたし的LASAの中で一番刺さる曲。

「すーはー」のところで「きれいなもんだけ吸って~ ネガティブなもん全部吐き出して~」と呼吸の儀式が執り行われる。「特にない」に近い要素を感じる演出。

私は風さんの孤独への寄り添い方が好きで。

「ひとりじゃないよ!」と励ます曲も素敵だけど、「みんなひとりでしょ。」だから孤独なんてないよ、と歌う風さんが私はすごく好き。風さんの言葉にはいつも「そんな寄り添い方があったなんて!」って目から鱗が落ちるような気持ちになる。

 

11.それでは、

LASAと同じ曲順だね。

とても有難くて厳かな気持ちになる。

今回風さんの主なピアノ演奏ゾーンはこの2曲だけだった感じかな?

 

12.“青春病”

そういえばここもLASAと同じ曲順だね。

3万人でやる野ざらしダンスは楽しさ倍増。あの瞬間は"青春のきらめき"を感じざるを得ないよ……

 

13.死ぬのがいいわ

元の衣装に赤い衣装を羽織って登場した風さんのサックスソロ。そっか、そうだよね、サックスまで演奏してくれるんだよね。最高。

至高のサックスソロから始まるのが「死ぬのがいいわ」なの、最強過ぎるんだよね。ライブの「死ぬのがいいわ」は至高のピアノソロから始まったり至高のサックスソロから始まったりして、私のツボを尽く踏み抜いていくので好きです。ライブの「死ぬのがいいわ」は万能。

 

14.燃えよ

2度目の特効(炎)あり。「燃えよ」だもんね!

今回もアウトロでショルダーキーボード登場。

 

15.きらり

「燃えよ」終わりでモニターに疾走感のある映像が流れる。例えるならばドラえもんの四次元ポケットの中みたいな(笑)この時点で「疾走感のある映像ということは次はきらりだな!」と直感が働く。

「きらり」はもう立派な代表曲だよね。

 

16.まつり

会場一体になって踊るまつりダンス、最高に楽しい盆踊りって感じ。ライブの「まつり」本当に楽しい。

そして、花火が上がったぞ〜!!野外ライブといえばやっぱり花火が見たいよね!!すごくちゃんとした花火でテンション上がったし「これぞ祭りだ……」ってなった。「まつり」で花火上げるの紛うことなき解釈の一致だし、花火上げるなら「まつり」しかないよな!!の気持ち。

 

17.旅路

風さんが「花火も上がって最後の曲みたいな感じになったけど次が最後の曲です」って言ってて笑った。やっぱりラストといえば「旅路」だよね。

スタジアムが壮大な宇宙になった。

 

退場前にステージを手を振りながらくまなく周り、大きなエアハグをくれた。

 

最後に

スタジアムライブ、映像も音響も最高だった。

風さんのライブはいつも音響が良い。信頼の映像と音響。

今回本当にフルスクリーンであることに命を救われたので……かなりお金かかってそうで豪華なフルスクリーンのセットだったよね。

モニターしか見てなくて全貌をちゃんと把握できている気がしないので円盤化を楽しみにしています!まるで初見のような気持ちで円盤を楽しめる自信、あります…!!

円盤の映像収録の時にしかお目にかからないカメラ(アリーナの上を縦横無尽で宙吊りになってるカメラ)があったから私の中では円盤化確定してます。

 

藤井風×野外スタジアムライブ、あまりにも相性が良すぎたのでまたやってほしいな。こんなに楽しいおまつりイベント、定期的にやらないと勿体ないよね!!!

藤井風 10/16 “HELP EVER ARENA TOUR” @大阪城ホール 感想

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遅ればせながら、2021/10/16(土)、藤井風さんの"HELP EVER ARENA TOUR"@大阪城ホールに行ってきました。

以下、ネタバレ満載の感想を書いていきますので、見たくない方はすぐに閉じてくださいね。

 

 

 

なお、メモも何も取っておらず、ただただ私の曖昧な記憶に頼った感想ですので、全文の語尾に「(多分)」がついていると思いながらお読みいただければと思います(笑)

 

 

 

まず、入場時は検温してからチケット確認。

紙チケットの方は紙チケットと身分証明書を同時に提示しなければ入場できないという徹底した転売対策。

私は電子チケットでしたが、申込時に登録した携帯番号じゃないと電子チケットを受け取れないようになっていたと思うので、転売対策は万全だったと思います。

 

 

今回、大阪公演の席配置は市松模様ではなく、「グループディスタンス形式」という初耳な形式でした。2連で取ったところは2人の間は空席なし、というスタイル。同行者とは空席なしの隣同士だけど逆サイドの知らない方との間には1席空いているという大変過ごしやすい席配置でした。収容人数も増やせるし個人的にはすごくいいなと思った。

というか、アリーナでのグループディスタンス形式及び市松模様形式、ステージの見やすさが快適なのでこれに慣れてしまったら収容100%に戻った時が大変かもしれないって思ってしまった……早く100%に戻ってほしいし、発声OKになってほしいはずなのに、なんと身勝手なジレンマ…!

 

そう、今回私の席、アリーナの一桁列目だったわけです……なんかもう本当に「いいんですか…!?」という感じで。あんなに大きい会場なのにこれまでで最も近くに風さんを感じました。徳を積んで生きていきます……

入場して、こんなに大きな会場のここにいる全員が風さんを見に来ているんだなと思うとなんだかとても温かい気持ちになりました。

 

 

入場が混雑していたためか、若干の押し。

もはや開演直前の合図としておなじみになりつつある「Good As Hell」のカバー音源が流れ始め、観客総出の手拍子。

 

 

18:10頃開演

 

1.風よ

バンドメンバーさんたちが登場し、モクモクとスモークが立ちこめる中、「風よ」のイントロが流れ始める。会場は既に総立ち状態。

イントロが終わったところでスモークとともにステージ中央に突如現れた風さんの手にはサックスが。それと同時に聴こえてくるサックスの美しい音色。

歌唱なし。1曲丸ごとサックス。プロすぎるサックス。斬新すぎる1曲目。

ホールツアーではアンコールでサックス登場だったけれども、まさかアリーナツアーの本編1曲目でサックスが来るとは。しかもホールツアーでは途中から歌い始めたと記憶してるけど、今回は1曲丸ごとサックスです。もう1曲目から藤井風にしかできないステージングです。完敗。

 


ちなみに、衣装はカーキっぽいセットアップと白T(グレーの柄あり)。おそらく白Tは10/3横アリ2日目の後に風さんが投稿したツイートで着ているものです。

靴はファスナー付きの白いスリッポンみたいな感じだった。

髪型はおなじみパーマのセンター分けで、髭ありのちょいワイルド。

 


2.調子のっちゃって

スタンドマイク。

ジャジーで色気のある曲なんだけど、「ライブ始まった!」ってテンションの上がる不思議で魅力的な曲。

イケてる「調子のっちゃって」ポーズも健在。

風さんのサビのリズムの取り方が好き。

 


3.優しさ

弾き語り。

イントロから心が洗われます。

照明がオレンジで、視覚からも本当に優しさに包まれているような気持ちになる。

花の咲く季節が戻ってきた後の「あーああー」で私の心にはひと足早く春が来ました。

 

 

MC

風さんはずっと「大阪は元気」と嬉しそうに連呼していた。最初から会場総立ちだったからかな?風さんが嬉しそうで私まで嬉しい。

「近い席、遠い席あるけど、心の距離は同じだと思ってるんで。」とちゃんと言葉にして伝えてくれる風さん。

裏声で可愛く「きらりっ!」と曲紹介し、次の曲へ。

 


4.きらり

ハンドマイク。

「大阪好っきゃねん!」って言ってた。可愛い。

1番終わりからダンサーさんが5人登場し、風さんも踊る踊る。本当に何でも出来ますね……ピアノ弾きながら歌えるからといって必ずしも歌いながら踊れるとは限らないじゃないですか。それが出来ちゃうんだもんなぁ。逆に何が出来ないのか教えてほしいものです。

 


5.キリがないから

2番からアンドロイドが登場し、一緒に踊る。

曲終了後にちゃんとアンドロイドの動きで退場するアンドロイドに沸く会場。

今回もHILOMUさんが帯同してるのかな?5人のダンサーさんのうちの1人がアンドロイドとして出ているのか(「へでもねーよ」で1人減ってたから)、その5人のうちの1人がHILOMUさんだったのか、ダンサーさん5人+HILOMUさんだったのかが分からなかったからダンサー紹介パートでちゃんとお名前を聞いておくべきだったな……ダンスに魅入ってしまっていた。

 


6.へでもねーよ

ハンドマイク。

尺八の音だけが響き渡ってからの「へでもねーよ」。

風さんはステージ中央であぐらをかいている。

後ろにはダンサーさんが4人。「全員で5人なのにここで4人体制なのは何か意味があるのでは…?例えば4人それぞれに(怒り)(祈り)(焦り)(希望)みたいに役割があるとか…?」などと思いながら見てたけど、よくよく考えたら直前の「キリがないから」で1人がアンドロイドとして出てたからというだけかもしれない。

マイクはエクレア持ちからちょっと変化してて、両手で上向き持ちだった。

Bメロの祈るような表情からのサビでの挑戦的な表情への変化が憑依型そのもので「藤井風ここにあり」という素晴らしさでした。

 


7.罪の香り

やっぱりこのイントロはテンションが上がる。

この曲で風さんが高音パートをちょっとため気味に伸ばして歌うのが好き。

 


8.もうええわ

エレピでの弾き語り。

この曲の風さんは慈愛に満ちた表情をしていて、聖母なのかと思った……

照明は紫の中にオレンジが差すような感じで、モヤモヤと悩みが立ちこめる中に希望や救いが差し伸べられるこの曲の世界観を見事に可視化しているなぁと。

「うつむかないで 怯えないで」の「うつむかないで」を「ぐらつかないで」だったか「ふらつかないで」と歌っていて、日産スタジアムの時もそうだったから風さんはあそこの歌詞をいつも忘れてしまうのでしょうか…?

 


9.死ぬのがいいわ

「もうええわ」終わりで間髪入れずに「死ぬのがいいわ」のイントロをエレピで弾く風さん。

もはや定番かと思っていたイントロアレンジはなし。「死ぬのがいいわ」と言えばあのイントロの前に演歌の世界観の如き激情型ピアノソロが来るものだと思っていたので思わぬ展開でした。しかし「もうええわ」アウトロから「死ぬのがいいわ」イントロの繋ぎが最高だったので何の問題もありゃしない。

イントロのみエレピで、あとはスタンドマイクで歌ってたかな。

照明も赤で激情型だった。分かる。この曲は赤ですよね。

 


10.特にない

弾き語り。いつもの前口上あり。

「clap or 指パッチン、clap or snapで参加してください。タイミングはband memberさんたちが教えてくれます。」とのこと。バンドメンバーさんたちが分かりやすく教えてくれます。

風さんの「一緒に心のお掃除いたしましょ」の言い方が可愛らしかった。心のお掃除いたしました。

clap&snapする観客を慈愛に満ちた嬉しそうな表情で眺める風さんが聖母(2回目)でね……

 


11.帰ろう

弾き語り。

イントロ前のアレンジとイントロだけで泣くところだった。

この曲は私の人生ソングなので、最初から最後まで双眼鏡を覗くこともできず、双眼鏡を抱きしめながらただただ聴き入っていました。周りのあちこちからもすすり泣きが聞こえてきた。

すごく不思議な曲だなぁといつも思う。会場の空気がガラッと変わって、壮大な何かに会場ごと包まれているようで、優しく穏やかな気持ちになれる。この曲が自分の中にあれば、この世の万物に対して愛を持てるし強くなれるなぁと思う。「強さ」とは、力ではなく、心の大きさなのだと思える。宗教かな……

ステージ横のモニターは曲中終始オフになっていて、切り取ったものじゃなくて全体の空気を味わえよと言っているようだった。

1番の照明は暖色で夕暮れのように優しく、2番のサビで満天の星空に包まれて、この曲の照明演出が大好きだと改めて思った。

 


12.青春病

「帰っても、帰らんでも、青春は続きます」という言葉からの「青春病」。

スタンドマイク。

みんなで一緒に踊る野ざらしダンスが楽しい。

 


バンドメンバー紹介

ベースの真船さん、ドラムの佐治さんと来て、ギターのTAIKINGさんを「TAIKING from Suchmos!」と紹介してからの「STAY TUNE」セッションは熱かった。

たまたま訃報の翌日だったからね。本当にたまたまだったんだけど会場の熱は否が応でも上がるよね。

 


13.何なんw

ハンドマイク。

「心で歌うてや〜」が毎度おなじみになってしまったけど、心の中で歌うしかない状況が毎度おなじみになってしまっていることの切なさよ。早く「何なん」コールアンドレスポンスができる日が来てほしいね。

ラストのピアノ飛び弾きも健在。

 


14.燃えよ

スタンドマイク。ダンサーさん5人登場。

手を挙げながら飛び跳ねたり、千手観音ダンスしたりと若々しいダンスで新鮮。めっちゃ踊るじゃん。

曲自体も若々しいもんね。英語の使い方が新境地というか、J-POP的というか。

そのうえアウトロで風さんがショルダーキーボードを弾きながら登場するという衝撃。人生で初めて見ました、ショルダーキーボード。ギターみたいにキーボードを斜め掛けするんですよ。そういうものがあるのですね……手元を見ずに弾ける方なのでショルダーキーボードも当然お手のものでした。

ところで、"HELP EVER ARENA TOUR"は略して"HEAT"と呼ばれているわけですが、アリーナツアー開催発表前から歌詞を出してた「燃えよ」がアリーナツアー(HEAT)の伏線になっちゃってるのって意図的なものなんですかね…?私は伏線回収の鬼ばかり推してしまう宿命なのかもしれない。

 


ダンサー紹介

風さんはピアノの椅子に座った状態で楽しそうにダンサー紹介。

ダンサーさん5人それぞれがバッキバキに踊っていたのでそれに魅入ってしまって名前を全く覚えていません……風さんならツアー閉幕後に絶対SNSでダンサーさん紹介してくれるので待っていれば分かる時が来るでしょう。

 


15.さよならべいべ

ハンドマイクで左右に練り歩いていたような記憶。

ライブ映えがすごい曲。楽しいもん。手拍子も腕振りもとにかく楽しい。

自分が曲中の「あんた」になれるのはライブの特権だよね。

 


16.旅路

これもハンドマイクで左右に練り歩いていたような…?

この時も「起こること全てには意味があるから。うちら兄弟やし、姉妹やし。」と言っていた。私は風さんの姉妹です…!

そしてまたしゃがみこんでましたね。最前列の魂が抜けるやつ。

そしてまたまたサビの「中で」でマイクを向けられたのでこちらも早くコールアンドレスポンスしたいですね。コールアンドレスポンスするタイプの曲なのかどうかという話は一旦置いておきます。

風さん、2番でジャケットを半分だけ脱いだ状態でそのまま歌い続け、2番サビで全部脱いで横に脱ぎ置いていて面白可愛かったです。

ジャケットを脱ぐと中のTシャツがゆるっとした五分丈なので、手を上げると脇がチラリするんですよ……肌着らしきものも着ていないようですし……「ご両親すみません。ずっずさんすみません。」という気持ちになってしまった……

歌い終わりで脱ぎ捨てたジャケットを拾ってちゃんとピアノの方へ持っていく風さんが風さんだった。

 

バンドメンバーの皆さんと挨拶し、お手振りしながら退場。

アンコールはなしで、「燃えよ」が流れ出し、終了のアナウンス。

 

19:45頃終演

 

 

雑感

規制退場で、私はアリーナ前方だったから割と最後の方の退場だったけど、終演から15~20分くらいで出られたし、会場から出るのも混雑していないし、出た後の駅までの道も帰りの電車もあまり混雑していなくてとても快適だったからコロナが収束しても規制退場あった方がいいのではと思ったりした。


風さんがライブのステージでいつもグッズT着ないのを不思議に感じてたけど、日常生活で着倒してるからライブでのみグッズT着てるパターンよりはるかに販促効果あるよなぁってふと思った。

 

曲間の水分補給でペットボトルを元の場所に戻せなかったり横倒しすべきペットボトルを縦に置いちゃったりしてた風さんですが、今回はちゃんと元通りに横倒しできておりました。


メジャーデビュー後、日本武道館単発→ホールツアー→アリーナツアーというシンガーソングライターとしては異例な速さで階段をのぼっていく風さんの勢いを感じた。それとともに今ツアーからはダンサーさんが増えて、直接は目に見えないけどきっと関わるスタッフさんも増えていて。どんどんteam風のメンバーが増えていっているんだなぁと思うと感慨深くなった。風さんに関わる全ての方への感謝が止まらない……


風さんは少年性と聖母性を兼ね備えた全知全能の神になっていた。天使でもあり、神でもある。宗教かな……

 

 

感想ブログ終わり!!

 

11/28のファイナル生配信は生憎観ることができないので残念ですが、この目で直接見ることができたのでダメージはあまりありません。

あと、生配信があるということは円盤化していただけるかな?という期待もある。

円盤化を期待しつつ、私のHEATツアーは閉幕とさせていただきます。

2021/5/3 VIVA LA ROCK 2021 藤井風感想

遅ればせながら(遅れすぎ)、2021/5/3 VIVA LA ROCK 2021に行ってきました。

まずは、VIVA LA ROCK、関係者に感染無しとのことで無事終了おめでとうございます。

もはや2ヶ月弱もの月日が経ってしまったのでレポというよりは自分のための備忘録的なブログです(笑)

 

今回のお目当ては藤井風さん。とは言いつつ、最近Awesome City Clubにハマっていたり、オードリーのANNを毎週聴いている身としてCreepy Nutsも気になったり、個人的フェス遭遇率No.1でいつも楽しいレキシさんもいらっしゃったり、全体通してすごく楽しかった。

ということで、早速風さんのステージの感想をつらつらと。

 

サウンドチェック
1.もうええわ

ステージではバンドメンバーの皆さんがサウンドチェック中。突如響き出す「もうええわ」のエレピイントロ。ステージ上にはグランドピアノが鎮座していらっしゃるため、「これは……袖で風さんが姿を見せずにエレピを弾いている……」と察知。姿を見せないまま「もうええわ」を歌い出す風さんにどよめき沸き立つ会場。まだ本人出てきてないのに皆が一斉に立ち上がったということに会場の期待値が可視化されていて始まる前からなんだか感激する。

歌い出しの風さん、サウンドチェックだからか、会場の空気が掴めていないからか、なんだか控えめに歌い出していてとても愛らしかった。

その後は慣れてきたからか、会場のボルテージが上がっていることを感じ取ったからなのか、徐々にいつも通りの歌い方に変わっていく様子も愛らしかった。

サウンドチェックのためだけに袖に設置されたであろうエレピに最大限の拍手を。

 

2.へでもねーよ

サウンドチェックも終わりかと思いきや、「へでもねーよ」のイントロが流れ出しびっくり。サウンドチェックで2曲!?サービス精神旺盛すぎますね!?

会場は最早本編が始まったかのような雰囲気でしたよ。

Awesome City Clubサウンドチェックでやった曲を本編でやらなかったので「すごい!太っ腹!!」と思ったのですが、風さんもサウンドチェックでやった曲は本編でやらなかったのでサウンドチェックも実質本編でした(?)

 

「へでもねーよ」終わりで相変わらず姿は見えないものの、風さんからご挨拶。

「藤井風と申します〜。このあとよろしゅうお願いいたします〜。」

相変わらずのゆるゆる具合にほっこりして安心する。

 

本編
1. 優しさ

いよいよここから本編スタート。

満を持してステージに現れた風さんのピアノアレンジからの「優しさ」イントロ。どよめく会場に、やはり「優しさ」は風さんの代表曲なんだなと感じる。

会場の空気がフェスというより最早ワンマンな感じ。さいたまスーパーアリーナにいる皆が待ち望んでた感がビシビシで何故か私が興奮した。


2. キリがないから

モニターの演出すら、もはやワンマン。「優しさ」では全編モノクロで、「キリがないから」ではMVのブラウン管の如く荒い画質というこだわり具合。

2番ではまさかのアンドロイドのヒロムさんまでご登場。いや、だからワンマンかて。

ご退場の際のヒロムさんがアンドロイドのまま袖にはけてて、プロとして当たり前なんだろうけど、そういう余白のような部分も見て楽しめるのがライブの醍醐味だなぁと思ったり。

 

MC

いつも通り、英語からご挨拶(ほぼ失念)。

「How are you doing VIVA LA ROCK?Hello,this is Fujii Kaze.Thank you for coming~(失念).crazy2021~(失念)言うてますけどmore~」

「言うてますけどmore」で会場爆沸き(笑)やっぱり皆聞きたいよね。

 

「次にやるのは地球初解禁の曲です」みたいな言葉でざわざわさせて始まったのは「きらり」。


3. きらり

モニターに歌詞が出ていて親切。

この日の0時に配信開始されたばかりでまだ聴き込めてなかったからすごく新鮮だった。

生で聴く2番は韻も踏んでるしビートも刻んでるしで音源で思っていたよりもラップっぽいなぁという印象を受けた。

 

兎にも角にも、「きらり」めちゃくちゃ好き。軽快でウキウキして踊り出したくなるような。風さんがMVでいよいよ踊り出したのも納得オブ納得な1曲。

HONDAからのお題「GOOD GROOVE」に最適解としか思えない楽曲を今回もご用意してしまう風さんはやっぱりタイアップの才能までも持ち合わせていてもう凄いとしか言えない……

 

荒れ狂う季節の中を二人は一人きり さらり

明け行く夕日の中を今夜も昼下がり さらり

もう初っ端から藤井風節全開である……

「二人は一人きり」の時点で一緒にいるのに一緒にいない感じが「自分と車」の曲なのかな?と思ったり、「自分と自分」の曲なのかな?と思ったり、色々考えられるから1行目からもう恐ろしい(笑)

「明け行く夕日の中を今夜も昼下がり」っていう時間軸はちゃめちゃだからこそ朝でも昼でも夕方でも夜でも聴ける曲にしちゃってるところに唸った。CMソングとして有能すぎる(ここはCMでは流れませんけれども)。

「時間軸に一切言及しない」という方法ではなく「全時間軸に言及する」という力技でいつでも聴ける曲にしちゃうところがすごく好きですね……

 

何のために戦おうとも動機は愛がいい

「きらり」という楽曲の核はここだと勝手に思っている。何故ならば、私が一番好きなフレーズだから(笑)

というか、このフレーズはこの世界の核だと思っている。この世界の希望的真理。あらゆる争いが全て愛ゆえだったらいいのにね。

風さんの歌詞には常に世界への希望や光が詰まっているなぁと思う。「あなたがこの世界をこんなにも愛するならば、きっと世界は素晴らしいんだろうな」と思わせてくれる圧倒的な力がある。

 

以前、私が応援している俳優さんがとある本の帯に「狭義では戦争、広義では愛」という言葉を書いていて、私はその言葉に衝撃を受けてずっと心に残っているんだけど、ここに来て風さんがこのフレーズを書いたことにすごく驚いたし納得したし、やはり私はこういう思考を持っている方を推してしまう運命なんだなぁと思った。運命には抗えないね。

 

あれもこれも魅力的でも私は君がいい

CMソングタイアップとしても天才なフレーズ。他社製品を貶すことなく自社製品を褒める。素晴らしい。

推し以外の誰かを貶すことなくただ推しだけを褒める。オタクの心得としても言えることだよ。あの人もこの人も素敵なことは知っている。それでも私はあなたを推したいのです。

このフレーズ、家訓にします……

 

荒れ狂う 季節の中も 群衆の中も

君とならば さらり さらり

サビ全部がそうなんだけど、やっぱりタイアップとして優秀すぎるんだよなぁ〜〜〜!!!

自然豊かな場所に暮らしていても都会に暮らしていても当てはまる全方位っぷり。

これはもう風さんが全人類に向けて作った曲だと思うので全人類に聴いてもらうしかない。

 

何か分かったようで

何も分かってなくて

だけどそれが分かって本当に良かった

無知の知」ですか……

さらっと哲学のオンパレード。

 

新しい日々は探さずとも常にここに

常にここに ここに

めちゃくちゃ「ここにあるよ!!ここに!!あるでしょ!!」って今を肯定してくれてる。

何かを無くしてしまった過去があっても、途方に暮れることがあったとしても、わざわざ探しに行かなくたって未来はここにあるよ!過去も未来もきらきら輝いてるんだから尻込みせずにどこまでも行こうよ!って光に導いてくれる。「全てがきらり」という歌詞で曲が終わるのもまた素敵で。やっぱりどこまでも先導者な風さん。

 

そして今回もまた日本語の魅力が存分に出てる。

「さらり」「きらり」「ほろり」「ゆらり

風さんは「わしは日本語も英語も下手」なんて言うけど、歌詞を通して日本語の素晴らしさをいつも教えてくれる風さんが日本語下手な訳がない。

 

なんか、ビバラきらりの感想じゃなくて普通にきらりの楽曲感想になってしまった……

 

4. 何なんw

今回も風さんの「心で歌うてや〜」が聴けたので心で歌いました。

サビの「何なん」で必ずマイクを向けてくれる風さんに我々の全力の「何なん」レスポンスを届けられる日が一日も早く来てほしい。

 

5. 旅路

「次は、みんなちっぽけだけどみんな無限、みたいな曲をやります。」という言葉から始まったのが「旅路」。

私はこの曲の「この宇宙が教室なら 隣同士 学びは続く」というフレーズが大好きなんだけど、風さんの「みんなちっぽけだけどみんな無限」という言葉を聞いて、やはり「旅路」の核はこのフレーズなんじゃないかなと思った。「宇宙」と「教室」を並列にするところが風さんらしくて好きだし、これを言い換えると「みんなちっぽけだけどみんな無限」になるところも風さんらしいし、このふたつが同義フレーズ(だと勝手に思っている)なことがとっても腑に落ちたのでやはり創造神が最大手で最強。

 

ところでイントロのリズムに合わせてスクワットしてたんだけどあれは風ダンスなのだろうか。スクワットしてるだけなのに可愛いとは何事……

1番Aメロで歌詞間違えて同じフレーズを2回歌ってた気がする。

踊る曲じゃない上に弾き語りじゃないからハンドマイク持ってステージの縁にしゃがみこんでスタンディングエリアに向かって微笑みかけてた。スタンディングから至近距離で微笑みかけられた方々の心臓が心配である。

サビの「旅の中で」直後の\中で/コーラスのところでもマイクをこちらに向けていたので、我々の全力の「中で」レスポンスを届けられる日が一日も早く来てほしい。

 

MC(多分)

「超feelin' goodな空間、超feelin' goodなビバラロック、あ、間違えた、VIVA LA ROCKにしましょう。」みたいなこと言ってた。ここだけで「超」って3〜4回言ってた。ギャル語好きの影響かしら。あとカタカナ英語からネイティブ英語に言い換えるやつは完全に持ちネタ化してて好き。観客の沸きポイントを完全に把握してる風さん。

 

このタイミングではなかった気もするけど、どこかのタイミングで風さんが水分補給後にペットボトル縦置きしたのをスタッフさんが横置きにささっと直しに来て、それに気付いた佐治さんとスタッフさんが笑い合っててなんかほっこりしちゃった(笑)鍵盤から手を離してもノールックで鍵盤に戻れる風さんですが、ペットボトルを横置きのまま元に戻すことはどうやら苦手なようで愛おしい。武道館ドキュメンタリーでのずっずさんとのペットボトル戻せ戻さん小競り合いを思い出した(笑)


6. さよならべいべ

バンドメンバー紹介からの「さよならべいべ」という流れはホールツアーと同じ。

フェスでやる「さよならべいべ」はそりゃあ盛り上がりますよ。ライブ映えする曲なのでフェスじゃなくても当然盛り上がりますが。


7. 帰ろう

「次で最後の曲かもしれません」って言った時点でホールツアーと同じく「帰ろう」→「青春病」ルートかなとある程度察し。会場が「えっ?最後なの?最後じゃないの?」ってなって笑い起きてた(笑)

「帰ろう」はいつどこで聴いたって名曲なのよ……私の人生ソング。

これまたホールツアーと同様に2番のサビで照明がステージから客席まで壮大に広がっていくのを見て「完全にワンマンライブじゃん……」となりました。あの演出、ホールツアーのときにすごく感動したので再び見ることができて(しかもアリーナという大きいステージで)胸熱。まさか照明部までワンマンライブとは。


8. 青春病

やはりまだ終わらないステージ。

「わしらはまだ若い。わしらはまだ生きとる。わしらはまだ青春病に侵されとる。」で沸く会場。

「わしらはまだ青春病に侵されとる」で曲フリをキメたのが照れたのか、あのハニカミ笑顔で一回転→そのまま歌い出してて罪深かった……華麗に一回転がバチコーン決まったその瞬間「青春の病に侵され〜」って笑顔で歌い出すのあまりにも2次元すぎるでしょ……あれ、照れたから勢い余って一回転したのか、元からの演出として一回転したのかどっちなんでしょう?どちらにせよ最高。

ざらしダンスも一緒にできて楽しい参加型。

これまたライブ映えする曲だなぁ。

 

終わり。

 

久しぶりのフェス参戦でしたがとても楽しかったです。

風さんはこの日もまた「miracle」と何度も口にしていた。私はたくさんのmiracleが積み重なったおかげであのステージを見ることができたんだなぁ。

たくさんのmiracleの先で、また風さんのステージを目にできるよう願いながら生きていきます。

藤井風"HELP EVER HALL TOUR"@名古屋 に行ってきた

2021/1/17、藤井風さんにとって初めての全国ツアー…いや、tourに行ってきました。

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私にとっても初めての生風さん。本当に実在してました。

何よりもまず、HALL TOUR完走、おめでとうございます!!

無事完走を迎えられたということで、ネタバレ有りのレポなのか何なのかよく分からないブログを投下させていただこうかと。ただ、メモも何も取っていないので、正確性は保証できません(笑)

 

奇跡。もうただただ奇跡の連続だった。

プレミアチケットと化したこのホールツアーに当選できたことも、ホールツアーの開催を並々ならぬ覚悟を持って決めてくれたことも、自分がライブに行ける環境・状況にあることも、毎公演無事に幕が上がったことも、ツアーを完走できたことも。

チケットを申し込んでからも、当選してからも、何度も「これはライブ中止かもしれないな」と心の準備をしてきた。

でも、私は今ライブの感想を書こうとしている。なんと幸せなことか。

きっとこの先何年も何十年も、「私は藤井風の初全国ツアーに行ったんだよ!」って自慢しちゃうんだろうなぁなんて、そんな風に感じたライブでした。

 

まず、感染対策について。

グッズ販売はオーダーシート制。

入場時に検温、アルコール消毒は入場時と退場時の両方、紙チケットはこちらでもぎったものを係の方に確認してもらって箱に入れるという非接触方式。

座席はソーシャルディスタンス確保のため市松模様

発声はNGで、拍手と手拍子のみOK。

ライブ終了後は密を避けるために規制退場。

感染対策がきちんと取られていました。

 

会場内に入ると、ステージにはバンドセットとグランドピアノが。そして風さんのカバー曲が流れている。HELP EVER HURT COVERの曲たち、そしてへでもねーよEP、青春病EPのカバー曲たち。開演時間が近づくと、流れていたGood As Hellの音が次第に大きくなっていき、高まる会場の雰囲気とともに手拍子が起こる。

 

開演。

 

1.風よ

ピアノ弾き語りから始まったこの曲。何度聴いても惚れ惚れするほど綺麗なイントロ。

暗転したステージに、一つだけ灯るライト。

もう既に神々しさすら感じる一筋の光。後光が差してるのかと思った。


ちなみに、この日の髪型はパーマっぽいウェーブ。

衣装は、上は黒ゆるジャケットの中に、ボタンを開けて首元がはだけた白シャツ、そしてその中にグレーの長袖Tシャツ。下は黒ゆるパンツ。足元は使い込まれた感じの黒い革靴。いつものチェーンのネックレスに加えて、赤い紐のようなものも首元に見えた。

黒ジャケットの袖口ボタンも白シャツの袖口ボタンも全部開けていて、ルーズな袖口からすらりと伸びる長い手指が色気を増長させていたのでとても素晴らしいスタイリングでした…

ま〜じで指が長い。「ピアノを弾くために生まれてきました!!!」って長い指が叫んでた(指は叫ばない)。

あれでピアノ弾くのはどう考えてもズルい…

 

2.調子のっちゃって

こちらはスタンドマイクで。

「立ってもええんやで〜」と抜け感のある煽りが可愛らしい。

ステージの背景に巨大な「HELP EVER HURT NEVER」の白い文字が出現したことによって、後ろが巨大スクリーンだったことに初めて気付く。ホールツアーでそんな贅沢な…キャパ半分なのに…チケット代2倍払いますのに…

そういえば2番ではやはり首を絞めていた。

ラストの囁き「調子のっちゃって」も健在。ありがとうございます。

 

3.キリがないから

2番で、アンドロイドのHILOMUさんはご不在ながらちゃんとアンドロイドになる風さん。

レコーディングの際に偶然の産物として生まれたはずのラストの「フッ」もちゃんとライブでやってくれる。ありがとうございます。

 

MC(多分)

「Hello.This is Fujii Kaze.Thank you for〜 言うてますけどmore〜」

まずは鉄板のご挨拶から。これを聞くと風さんのライブに来た感じがする。

生「言うてますけどmore」に沸く会場。

「初めてのホールツアー…あ、hall tourで、緊張してます。名古屋の方はcoolだと聞くので。」

音楽界に蔓延る「名古屋の客は冷たい(けど心を開くと熱い)」的な定説だね、脅かしてごめんね…暗に「盛り上がってよ」と圧をかけてくる(?)風さん、悪くない。

あとカタカナで言ったあとに「あっ…」ってネイティブで言い直すの何なんwもはやご本人がネタにしている(最高)

 

4.優しさ

こちらはもちろんピアノ弾き語りで。

イントロの和音で「キター!!!」ってなるやつ(表現力ゼロ)。

言わずもがなの名曲。

 

5.特にない

風さんが説明しなくても、指パッチンのタイミングで会場から手拍子が起きてなんだか嬉しそうな風さん。

「みなさんのネガティブな感情が一つずつ消えていくように」的ないつものメッセージを伝えてくれている間に歌い出しに間に合わなかった風さん。ライブ感があって良き。

 

6.罪の香り

こちらはスタンドマイクで。

1番サビ中だったか、目がすごくキリッとしてて色気が凄い中で右のイヤモニを外すところを見逃さなかった。イヤモニフェチとして自分を褒めてあげたい。

確か2番でスタンドマイクから手持ちマイクへ。マイクをスタンドから外す時と、マイクをスタンドに戻す時の動作って何故か惹かれるものがある不思議。

2番途中で、外したイヤモニが激しい動きの最中に巨大な弧を描いて左側に行ったの最高だった。

この曲の時だったか、ステージを左右に練り歩きながら客席に向かって流し目を炸裂させていたので1階前方にいたお客さんの心臓を勝手に心配していた。

 

7.死ぬのがいいわ

ライブ映えするイントロランキング堂々第1位の曲。

やはりこの曲のイントロのライブアレンジが最高すぎる。「三度の飯よりあんたがいいのよ」とこの後歌うとは到底思えない美しいイントロ。

「死ぬのがいいわ」でお化けっぽいポーズしてた。

 

MC

「今日はなんと3階まであるんですよ。珍しい。3階までちゃんと見えてますよ、ほんまに。今日はええ目薬してきたんで。ちゃんと見えてます。」

見えてない時は正直に「見えてない」と言い、見えてる時にはちゃんと根拠とともに見えてることを教えてくれる風さんが好き。ええ目薬してきたんですね。ドライアイなのかな…?

名古屋トークはここだったかな?

風さんは天むすがお好きとのこと。「天むす食べた」って言ったら会場から拍手が起こって「天むす食べたら拍手してもらえるの?」みたいな風さんが可愛かった。

名古屋城はもっと歴史ある建物かと思いきや意外とポップだったことに驚いた風さん。

「金シャチ通り(?)金シャチ横丁(?)」を思い出せない風さんと、風さんが思い出せないことを見越してギターの文太さんに「金シャチ」を覚えておくよう根回しするteam風のチームワークに笑った。風さん、基本的に物事への執着心がないからすぐ忘れちゃうんですかね。

 

8.Aitai(カバー)

ステージにキーボードが登場していたこともあり、「名古屋出身でわしがリスペクトしている方の曲を」ということで加藤ミリヤさんのAitaiを弾き語りしてくれました。最高。私も加藤ミリヤさんの曲の中でこれが1番好き。

 

9.今夜はブギー・バック(カバー)

もう一曲カバーを、ということで引き続きキーボードで弾き語りカバー。

ラップまで堪能させていただきました。本当にラップスキルまで高いんだよね…逆に何ができないのかを教えていただきたいくらい。

 

10.もうええわ

キーボードといえば、この曲ですよ!!

もうええわの風さんには慈悲深さを感じる…気がする。

「うつむかないで 怯えないで」と歌われる度に強くなれる…気がする。

もうええわアウトロのライブバージョン早弾きが最高に好き。

 

11.へでもねーよ

マイクの持ち方のクセがすごい曲。

歌い出しでエクレア持ちじゃない!?ってなってよくよく見たら小指立てた両手でマイク持ってた(笑)あれは何持ちなんだろう?尺八が出てくるから尺八持ち…?

その後、お馴染みのエクレア持ちも登場。

「かと思いきや正反対」パートに来ると表情がガラッと変わるの、相変わらず憑依型で驚きます…照明もガラッと変わっていた気がする。照明部の素晴らしいお仕事ぶり。

そして、あんな妖艶にグランドピアノに寄りかかる方を未だかつて見たことがない…


MC

「名古屋の方はcoolかと思ったけどツンデレなんやな。最初ツンツンしとったけどだんだんデレの部分が出てきてかわいい。」みたいなことを言われてしまって軽率に恋。そんなあなたの方がかわいいですけどね!!

あともう一回くらい「かわいい」って言われた気がするんだけどもしかしたら私の幻想かもしれない。

風さんはそんな簡単に「かわいい」などと言ってはいけません!!そこらじゅうで恋が始まってしまいます!!(嘘ですもっと言ってください)

 

バンドメンバーのみなさんの名古屋(グルメ)トークで、マニアックな店名が出てくる度に観客の拍手の大きさでお店のマニアックさを判定する感じになってて笑った。私はどのお店も知らなかった(笑)

ギターの文太さんは名古屋は二度目とのこと。台湾ラーメンを味仙じゃなくてドラゴンズファンだらけの中華のお店で食べたらしい(拍手大きめ)。

ベースの真船さんはあんかけスパのお店を(拍手そこそこ大きめ)。

ドラマの佐治さんはカレーマニアとのことでカレーのお店を(拍手少なめ)。さすがカレーマニア。

カレーの話の流れから、team風の現場でよく差し入れされるCoCo壱は名古屋発祥なんだよ!と教えられた風さんがびっくりしてた。

 

「バンドメンバ…あ、band memberも紹介できたところでバンドっぽい曲を」と次の曲へ誘導する風さん。だからわざわざネイティブで言い直すの何なんw

 

12.さよならべいべ

巨大スクリーンが夕暮れ色になっていて、この曲の温かさとライブも終わりに近づいてる感じが背景とマッチしていてすごく良かった。

サビのお手振りが楽しくて問答無用で盛り上がるなぁ。

ギターの文太さんとベースの真船さんがステージを右に左に闊歩していてすごくバンドっぽいのも楽しかった。

 

「来んと思った時は本当に来るもので…毎日生きてて嫌なこととか厄介なこととか沢山あるかもしれないけど、ネガティブな感情を今だけは忘れて、今日は帰ってほしいなという祈りを込めて。」

こんな感じの言葉とともに次の曲へ。

 

13.帰ろう

いつもよりシンプルなイントロ。

しかし歌い始めたところで歌詞が飛んでしまって、やり直すことに。

「大丈夫だよ!」と言葉にして伝えられない代わりに、温かい拍手が会場を包む。

2度目の帰ろうを聴くことができました。こういうのもライブ感があって私は好き。

2度目のイントロはシンプルじゃなくていつも通りだったかな。

2番で背景に無数の星が浮かんで素敵な星空が出現。「さよならべいべ」で夕暮れだった空は満点の星空に姿を変えた。もうこの時点でグッとくる。

そして、MVでは無数の風船が浮かぶあたりで、背景だったはずの無数の星たちが広がっていき、客席を照らし、包み込む。初めて星に包まれるという経験をしました。「帰ろう」という楽曲の素晴らしさと照明の素晴らしさがマッチしすぎている…またもや照明部の仕事ぶりがあまりにも最高。ありがとうございます。


「わしも間違えるし(笑)、みんなも間違えることもあるかもしれない。なぜなら、青春の病に侵されているから。」

さっきのアクシデントを織り交ぜつつ、次の曲へ。

 

14.青春病

「これが最後やで!」と叫んで最後の曲であることを教えてくれた。

「君の声が 君の声が」で片手ずつ挙げて「頭かすめては焦る」で頭ぐるぐるしてたのが可愛かった。

歌詞は文学的なのに可愛くて楽しくなる曲。

風さんの野ざらしダンスもみんなちゃんと予習してきてる。

アウトロ演奏中、ひと足先にステージから姿を消す風さん。舞台袖でスタッフさんが労うように風さんの肩を叩いていたのがなんだか素敵で印象的だった。

 

本編終了。

 

アンコール①

15.旅路(新曲)

拍手が鳴り止まない中、黒ゆるジャケットを脱いだ白シャツ姿の風さんが登場。

ピアノオンリーで新曲披露。

言葉を一つひとつこちらに手渡してくれるように優しく丁寧に歌う姿が目にも耳にも焼き付いているし、すごく聴き取りやすかった。

「この宇宙が教室なら 隣同士 学びは続く」

「僕らはまだ先の長い旅の中で 誰かを愛したり 忘れたり 色々あるけど いつの間にか この日さえも懐かしんで 全てを笑うだろう 全てを愛すだろう」

「宇宙」という壮大な世界を「教室」という身近な世界でたとえる風さんがとても好きだなと思った。

よくよく考えてみれば、「帰ろう」を大好きな私がこの曲を好きにならないわけがなかった。「帰ろう」という曲の魂と「旅路」という曲の魂は、ある意味対になって共鳴してる。

「帰ろう」では如実に死生観が表現されていて、それはどちらかというと「死」の側から人生を見ている感じ。対して「旅路」は「生」の側から人生を見ている感じ。

主題歌としてタイアップがついている「にじいろカルテ」は命を取り扱っているドラマだからこそ、「旅路」から強い生命力を感じるのかもしれない。藤井風要素を持ち続けたまま、ドラマにもしっかり寄り添う。初めてのタイアップから既に最適解を叩き出す風さんにはひれ伏すしかない。

ライブで一度(+ドラマで流れた部分)しか聴けていないので、楽曲がちゃんと聴ける状況になったら改めてゆっくりじっくり噛みしめたい。

丁寧に弾き語る風さんの姿を見れば、「旅路」という曲への風さんの想いは伝わってきたつもりだから。

 

アンコール②

16.Just the two of us(カバー)

白シャツも脱ぎ、赤シャツと赤Tシャツ(多分)に衣装チェンジ。下は変わらず黒ゆるパンツ。

なんと風さん、サックスを吹きながらの登場。

サックス吹く風さんまで見れてしまうんですか…いいんですか…

ずっとサックス吹いてる風さん、もはやプロのサックス奏者なのですが。

ずっとサックス吹いてたのに、サビで一言だけ「Just the two of us」って囁くように歌ってまたサックス吹き出した瞬間、凄すぎてもはや面白くなって笑ってしまった。

才能が大気圏突破してますけど大丈夫ですか…?

2番から普通に歌い出す風さん。なんか1番サビの衝撃が強くて2番の記憶がほぼ無い…

曲中にバンドメンバーの紹介。風さんもサックスとして紹介される。ブラボー!!

 

17.何なんw

ラストに「何なんw」はもうお祭りですよ。

楽しいのなんの。

「声は出せなくても、心の声で歌うてや〜!!」って言った風さんはやはりサビの「何なん」でマイクをこちらに向けてくれる。心の声で歌いましたとも。楽しい。

綱渡りの振りも健在。

アウトロのピアノパフォーマンスがやっぱりどうしたって最高なんだ。これぞライブ。

 

最後はバンドメンバーのみなさんとともにご挨拶。マイクを持たない風さんは地声で「良いお年を!」と大きな声で伝えてくれました。今ツアーお決まりのフレーズだそうで。年が明けても「良いお年を」は使えるそうです(風ルール)。「良いお年を過ごそうね」っていうことだもんね!

バンドメンバーのみなさんとも手を繋げないから、全員で謎のポーズ(両隣とエアーグータッチしながらカーテンコールの役者さんのような膝曲げ)をしながらお辞儀。

バンドメンバーのみなさんが捌けてひとりになった風さん、意を決したように「名古屋愛しとる!」って叫んだ後に両手で顔を覆ってて、むしろこちらが愛しました。

名古屋の中心で愛を叫ばれてしまったなぁ。

 

終演

 

最後に

ライブ中、風さんは「わしがここにいるのもみんながここにいるのもmiracle」だと言っていた。私もライブ中ずっとそう思っていた。

「やりたい」という気持ちだけでは開催できない状況で、どうにか開催できる情勢であって、このツアーに携わっている方々が健康で、観に行く私たちも健康で、無事に開演して、無事に終演する。それがどれほどに当たり前ではなくて貴重なことであるか、痛感せずにはいられなかった。

 

発声できない分、私たちは想いの強さを拍手で伝えるしかなくて。曲と曲との間もずっと拍手が鳴り止まなかった。あの拍手の波に乗って、私たちの想いもちゃんと風さんに届いたかな。

 

「不要不急」が叫ばれ続ける今、私にとってエンターテインメントは心を豊かにしてくれる、絶対に必要なもの。開催、中止、延期。様々な選択肢を取るイベントがある中で開催を決めてくれたこと、とても救われました。

座席を市松模様にするなどの感染対策を講じてツアーを開催することで、会場のキャパシティは半分。当然収益も単純計算で半分でしょう。それでもチケット代は当初と変わらず据え置き。できることならチケット代2倍払いたかった。会場内に募金箱とか設置していただけたら諭吉さんをねじ込みましたのに…

ライブに対する正当な対価としての報酬をお支払いしたいのは勿論のこと、私はHEHN RECORDSへの先行投資をしたいのです…HEHN RECORDSは一体どこから資金を捻出していらっしゃるのでしょう?アルバム沢山売れたから大丈夫なのかな…?

できることなら定額制の課金先が欲しいです。それが無理ならば、藤井風基金が欲しいです(笑)

 

冗談はさておき(?)、いつかみんなが何も気にせずにライブに行くことができて、声を出したり、手拍子したり、好きなようにライブを楽しめる、そんな日が来ることを願って。

藤井風さんの初武道館ライブ『Fujii Kaze "NAN-NAN SHOW 2020 " HELP EVER HURT NEVER@日本武道館』を生配信で観た

タイトルの通り、2020年10月29日(木)、藤井風さんの初武道館ライブ 『Fujii Kaze "NAN-NAN SHOW 2020 " HELP EVER HURT NEVER@日本武道館』を生配信で観ました。

残念ながら来場チケットは落選してしまいましたが、生配信のおかげで至近距離で初武道館ライブを堪能することができました。生配信ありがとう。

 

今回、会場では感染症予防対策としてマスク着用はもちろんのこと、間に換気時間を設けた2部制、私語歓声厳禁、そのためにチケット申し込みも1人1枚のみ、客席はソーシャルディスタンス確保のために市松模様に配置、グッズの会場販売は無しなど、万全の対策のもとに行われました。

キャパシティの激減が避けられない中、収益を大きく左右するグッズすらネット販売のみで会場販売を無しにするというのは、やはり接触を限りなく少なくするためにとても重要だなぁと感服するとともに、収益がとても心配になりました。ということで、微力ながらネットでグッズも購入(単純に欲しかっただけ)。

 

エンターテインメントに溢れた最高のライブでした。

開演30分前にはラジオ番組が流れ、そのラジオDJは風さんがこれまでに何度も出演してきたFM802の飯室大吾さん。

「私語厳禁のため、待ってる間に退屈しないように」との思いからのラジオ番組だったようで、優しさが過ぎる。

風さんのこれまでを振り返る内容で、子供時代についてのエピソードも教えてくれました。

Q.子供の頃やっていた遊びは? A.おままごと

Q.子供の頃の宝物は? A.スヌーピーのぬいぐるみ(お兄ちゃんの影響で好きになった)

Q.お母さんの好きな料理は? A.おにぎり、トースト、サラダ

Q.藤井家の決まりごとやルールは? A.プラスチックの容器は分別する、ヨーグルトの蓋についている部分も無駄にしない

Q.3歳でピアノを始めた風さんの1日のスケジュールは? A.平日は保育園や幼稚園から帰ってきてからお風呂までずっとピアノ、ご飯を食べてからもピアノ。休日はずっとピアノ、時々英語のお勉強や運動。食事中や移動中も音楽をかけてもらっていた。

 

そのほか、上京後のエピソードやこれからのビジョンについても。

Q.東京で好きな場所は? A.ドンキホーテ(何でも揃っているし、色んな人がいるから)初めて自分の曲を外で聞いたのもドンキとのこと

Q.(質問部分を失念)ひとり暮らしで学んだこと的な? A.部屋がすぐ散らかる、食べ物にカビがはえ

Q.寂しくなるのはどんな時? A.孤独も楽しめるように心がけている

Q.かっこいい大人は? A.お父さん、マネージャーのずっずくん(ずっずくんが1番の癒しの存在)

Q.1番大事にしていることは? A.聴いてくれる人にポジティブな影響を与えられる存在になる

Q.挑戦したい曲 A.ゴリゴリにイキった曲、みんなが歌ってくれる曲。次のアルバムは若々しい楽しいアルバムにしたい。

 

あと、メモることに気を取られて質問全然聞いてなかったけど「中学時代は奇声を発して怒られていた、高校時代は体育祭の応援団長だった」っていう回答だけ聞こえたところがありました(笑)

アバウトだけどこういう感じでたくさんエピソードが聞けて、開演前にドキドキしながらも楽しい時間が過ごせました。

本番直前の風さんがラジオブースに現れてメッセージを残していくサプライズも。

そしてこのラジオ、ライブ当日に突如リリースされた風さんの公式アプリでも後日聴けるようになるらしく、本当にホスピタリティが凄い。

 

ラジオ後に映し出された会場はセンターステージ。白いステージに黒で描かれた「HELP EVER HURT NEVER」の文字。そしてその中央には開演までの残り時間のカウントダウンを表す黒い箱が。このカウントダウンが0:00になった瞬間、「帰ろう」のMVティザーでも流れていた「帰ろう」のストリングスが流れ出す。箱が上がっていくと、箱の中には1台のグランドピアノと風さんの姿が。そして「帰ろう」のストリングスに合わせてピアノを弾く風さん。この時点で既に泣いてしまいそう。

 

1.アダルトちびまる子さん(おどるポンポコリン)

1曲目からギャップで楽しくなっちゃう。

アダルトちびまる子さんは風さんが沢山の人に知られるきっかけにもなった大切な曲なんですよね。私はそれをリアルタイムでは知らないけれども、初武道館ライブの1曲目にこの曲を持ってくることの意味を強く感じてじんわりしました。

 

2.Close To You

「HELP EVER HURT COVER」と同じくイントロなしのウィスパー「Why do birds」入りだったので例によって例の如く息が止まるかと思いました。聖母のように優しい曲。

 

ライブ全編通して風さんの息遣いまでもがよく聴こえてきたんだけど、風さんは鼻でブレスしながら歌うんですね。すごく難しそうな歌い方をするんだなぁと思いながら観ていました。あの歌い方はどうやら風さんの癖のようです。

 

MCでは「このステージ回るんですよ」とステージを回転してくれました。「回りよる、回りよる。すげかろう。」と自慢してくれる風さんと、ステージが回転した時にぼそっと「ありがとうございます」ってステージを回転させてくれたスタッフさんにお礼を言っていた風さんに愛おしさが溢れました。

「センターステージだから、ずっと後頭部だけとかずっと顔だけっていうことがないように回しながらやっていきます」みたいなことを言っていて優しさ100%でした。


3.Just the two of us  

「クリスマスっぽい曲を。まぁ全然クリスマスの曲じゃなくてわしがそう感じてるだけなんですけど。」みたいな言葉からこの曲。

YouTubeでも光るクリスマスツリーを飾って、赤チェックのシャツと緑ジャージというクリスマスカラーでカバーしてるもんね。


4.丸の内サディスティック

丸の内サディスティックのイントロをバッチバチに弾いたと思えば、突如その手を止め、ピアノを離れる風さん。

そして丁寧に東西南北各方面へマイク無しの地声での煽り。確かにこの曲は盛り上がりたい。

ピアノに戻ったかと思えばいきなりの「報酬は入社後〜」入りですよ。くぅぅ〜〜〜出ました!!!YouTubeでの生配信ライブのデジャブじゃないか!!やはり分かってやってらっしゃる。参りました。


5.特にない

ここからは「HELP EVER HURT NEVER」の曲たちです。

「皆さんも演奏に参加してください」と指パッチンのレクチャー。指パッチンのタイミングを教えてくれるとともに「わしゃいっこも鳴らんのんじゃけれども」と指パッチンができない可愛さを覗かせる。「鳴らない人は小さくクラップでもいいですよ」と自分とマイクの間でその瞬間だけちょっと仰け反りながら小さくクラップしてお手本を見せてくれる様子がとても可愛かったです。

そして「不満や満たされないこと目を向けるのではなく、満たされていることに目を向けて、満たされた気持ちで帰ってください。」という風さんらしい素敵なメッセージ。ぼそっと「まだ帰らんのんじゃけれども」なんて付け足すもんだから思わずクスッとしてしまった。

「特にない」の弾き語りもすごく良かったなぁ。また聴きたい。


6.風よ

「わしの曲はいつも大体祈っとる。祈りがなければこげな大きな舞台、怖くて立てん。その中でも次やる曲は特に祈っとる曲。」と演奏したのがこの曲。

確かにお喋りしている時は緊張している様子が伝わってきたけれども、パフォーマンスし始めたらキリッとモードが変わって緊張すら味方につけている感じがする。

今回演出にも携わっている山田健人監督がラジオで「近年稀に見る憑依型」と評していたけれども、やはり演奏が始まると目が変わるよね。

「風よ」も本当に大好きな曲なので弾き語りという贅沢なアレンジで聴けて幸せでした。はぁ、もう一度聴きたい…

 

ここまでが第1部。風さんはステージを降りて、お手振りしながら客席からの退場。

 

15分間の換気休憩を挟みます。


7.何なんw

ここから第2部の始まり。

第1部は背中に桜の写真が印刷された白Tシャツ、ジーパン、茶色スニーカー(?)というシンプルな出で立ちで弾き語りによって"聴かせる"パートであることを、第2部ではストライプのゆったりしたセットアップ、茶色ブーツ(?)という風さんだからこそ着こなせる出で立ちでバンドスタイルや映像によって"魅せる"パートであることを視覚情報でも表現しているかのようだった。

第1部は白ステージ、第2部は黒ステージという対比も含めて2部制であることを逆手にとった上手い構成で流石でした。

 

風さんは客席からの登場。うずうずしてる客席に向かって「立ってもええんやで!」って呼びかける風さんが良かった。

サビで「何なん」が来る度に発声禁止の客席にマイクを向ける風さんも可愛かった。せっかくマイクを向けられてるのに「何なん!」と心のままに叫べなかった観客の皆さんはもどかしかったのでは。

MVでよろよろと歩きながら倒れ込むパートで、MVと同様によろよろと歩きながら倒れ込む風さん。倒れ込んだ反対側の席の方々が背伸びするようにステージを覗き込んでいる様子を見て、「わかる〜〜〜センターステージの向こう側でしゃがまれると全然見えなくなるんだよね〜〜〜」と古の思い出が蘇ってきました(笑)

アウトロでは次の曲で使うキーボードにマイクをセットして、手ぶらのままグランドピアノに戻りながらピアノブースに飛び乗ってそのまま豪快にピアノを弾く風さんに大興奮した上に、何度もYouTubeで観てきた渋谷公会堂でのアウトロアレンジとも違うアレンジを聴けて更に大興奮でした。


8.もうええわ

いつも弾き語りの時だけ「怯えないで」の「ないで」で語感に合わせてキーボードを弾くのが大好きなんですけど、やはりライブでは音源と同じ弾き方をするんだなぁと思った。結局はどちらも好き。

そしてアウトロの早弾きアレンジが聴けて耳が幸せ。

 

どのタイミングだったかな?このタイミングだったかな?

「元気にしてますか〜?」って呼びかけつつ、「ちゃんと奥まで見えてます〜。今日はコンタクト入れてきたんでちゃんと見えてます。」って本当に見えていることを説明してくれる風さんが可愛かったです。ライブによっては「コンタクト入れとらんから何も見えん」って言う時もあるからね。「今日はちゃんと見えとるよ!」って教えてくれたんですね。


9.優しさ

歌う前に「優しさ」を作るきっかけとなったエピソードを話してくれました。

自分は人に優しく出来ていないのに人に優しくしてもらった時、自分が恥ずかしくなった。優しさは弱さなんかじゃなく、強さなんだと。

 

「優しさ」を歌う風さんってなんだか神々しさすら感じます。その一方で、高音を出す時に鼻の付け根あたりが力むところに色気を感じてしまった…


10.キリがないから

この曲はデジタルとの融合にワクワクしました。MVにも出てくるフクロウがいきなり画面上に現れて飛んで行ったからびっくり。あれは生配信の人にしか見れない演出だったようですね。プレゼントをありがとうございます。

曲中、箱型のモニターが降りてきてグランドピアノがあった場所が巨大モニターに様変わり。と思えば、再び箱が上がるとその中にはなんとこれまたMVにも出てくるアンドロイドのヒロムさんの姿が。あれはかなりテンション上がる。そして2人の息ぴったりなダンスを見ることができました。風さんってダンスまでできちゃうんだなぁ。つくづく"魅せる"才能に溢れた人だと思いました。


11.罪の香り

色気が凄いですね…

なんか、1番では片手でマイクを押さえながらもう片方の手はポケットに手を突っ込んでいて、2番では両手ともポケットに手を突っ込んでいたような気がするんですけど…しかもちょっとヘドバンもしていたような。

スタンドマイクスタイル最高じゃん…あとポケットのあるセットアップよ、ありがとう。


12.調子のっちゃって

「調子のっちゃって」ポーズがかっこよく進化していた。あのポーズにそんなアレンジまでできるのか…

リリパではサビで自らアソコを指さしておきながらハニカミ笑いをしていたけれども、この日はさり気なく、しかし堂々とアソコに手を持って行っていた。いやだから、色気よ…

「瀬戸際の見栄が この首を絞める」で自分の首を絞める仕草をする風さん。

ラストのウィスパー「調子のっちゃって」も聴けて大満足です。


13.死ぬのがいいわ

グランドピアノで一音ずつ奏でる度にモニターの火花が呼応する。音数が増えると共に激しさを増す火花。そして始まるこの曲のイントロ。やはりこのイントロのピアノは素晴らしいし、映像も演歌のようなこの曲の世界観とすごくマッチしていた。

 

曲終わり、またもや箱が降りてきてその中に消えていく風さん。

箱型モニターには何やら波の映像と「主演 藤井風」の文字が。火サスとか昔の映画のパロディ的な映像が始まるのかと本気で思っちゃった。風さんって昔ながらの男前のパロディとか出来そうだもんな…

頭がプチ混乱している間に再び箱が上昇し、白地に赤字で「Botter love」と書いてあるシャツと黒パンツに衣装替えした風さんの姿。「風さん、もしかして人生初の早替えなのでは!?」という謎の感動を覚えていたらモニターには見覚えのない「へでもねーよ」の文字が。


14.へでもねーよ(新曲)

「へ…でも…ねーよ…?」とちゃんと文字を読めていたかも覚えてないけれども、待望の新曲初披露です。

イントロがめちゃくちゃ演歌っぽくて、あの波の映像が流れた意味がよく分かった。

「開演前のラジオで言ってた"'ゴリゴリにイキった曲"ってこれのことだったのか!!」と伏線を回収しつつ、第一印象は「新境地の尖ったかっこいい曲」でした。ちなみにサビは半分くらいなんて言ってるのか分かりませんでした(ごめんなさい)。イカした曲だということだけは分かりました。

だけど、配信後に歌詞を見ながらこの曲を聴くと第一印象は覆されました。攻撃的な曲かと思っていたけど、やはり根底に流れているのは祈り。外側と内側のギャップが凄い。

「願うはここへずっと居たい」

「神様、力をちょうだい

あんたがいれば無問題」

「変わらぬものにしがみついてたい」

「信じたい」

「神様、力をちょうだい

一人じゃ何も出来ない」

「確かなものにしがみついてたい」

 

この曲もまた祈りの曲ならば、サビの言葉の並びは他人への攻撃ではなく、無意味なものに惑わされないようにと自分に言い聞かせているみたい。

 

「かと思いきや正反対

とても平穏な新世界」

「かと思いきや急展開

自分次第で別世界

作り変えられるみたい」

生きづらい世界でも自分次第で生きやすく変えていくことができるんだという救いを願ってる。

 

怒りのようなものが表出しているパートではエレキギターがかき鳴らされていて、祈りのパートではピアノとストリングスが鳴っているという顕著な対比も好き。

 

「うちへ帰れ」

「しばし黙れ」

「よそで騒げ」

も、ずっと風さんの曲を聴いてきた人間が聴くと自分自身の中にあるネガティブな感情や煩悩に対して言っているように思えてきます。

 

「喜怒哀楽の"怒"が全くない」と言っていた風さんがこういうテイストの曲を作ったというのもまた面白いなぁと思ったり。

 

あと単純に、「キック」の「ク」、「パンチ」の「チ」、「ブロウ」の「ウ」、「ディス」の「ス」、「ヘイト」の「ト」、「マウント」の「ト」の息遣いの色気に耳がびっくりしてしまう。刺激強め。

 

ここで「この次もう1曲新曲やります。新曲2曲あります。この後24時から配信スタートします。」と怒涛の供給。

 

15.青春病(新曲)

第一印象は爽やか。とにかくポップで爽やか。教室の効果音にいきなり青春が詰まってる。王道のサウンド大好き。

「開演前のラジオで言ってた"'みんなが歌ってくれる曲"ってこれのことだったのか!!」とここでも伏線を回収。

これまで一人称と二人称が「わし/あんた」「私/あなた」だった風さんが初めて「僕/君」を使った歴史的瞬間でもあります。

だけど爽やかなだけじゃない風エッセンスがふんだんに盛り込まれてます。私の大好きな風さんの対比表現も堪能できます。

聴けば聴くほど深みにハマって好きになる曲。

ところであの歌詞は風さんの手書きでしょうか?好きです(突然の告白)。

 

ここでもまたなのですが、「ヤメた \ハッ/」と「ムリだ \ハッ/」の吐息で急に色気ぶっ込んでくるじゃん…爽やかさとの高低差が凄い…

 

「青春はどどめ色」にお恥ずかしながら「どどめ色…?」となったのですが、どどめ色って正確な定義がない色なんですね。キラーワードに正確な定義のない色を持ってくるあたり、すごく好き…青春も簡単に定義できるものじゃないもんね。青春は必ずしもキラキラ輝いてるものじゃないということが伝わってくる。メロディーはすごくポップで爽やかなのに歌詞はずっと悩んで苦しんでもがいているね。傍から見ている大人は簡単に「青春だね〜」なんて羨むけれども、その渦中にいる間は楽しさだけじゃなくて、苦しみとか息苦しさとか色んな葛藤を抱えているんだよなぁ。

 

ただ、自分の強さと弱さの狭間で揺れたり、ちょっと進んでまたちょっと下がったりするのは大人になっても変わらないので、もしかしたら人って幾つになっても「青春病」なのかもしれないなぁとも思ったり。私だって幾つになっても儚さを追い求めてるもんな…


「無常の水面が波立てば

ため息混じりの朝焼けが

いつかは消えゆく身であれば

こだわらせるな罰当たりが」

とか

「切れど切れど纏わりつく泥の渦に生きてる

この体は先も見えぬ熱を持て余してる

ざらしにされた場所でただ漂う獣に

心奪われたことなど一度たりと無いのに」

とか文学過ぎるでしょ。はぁ…(語彙消失)

サウンドもまるで渦の中で溺れてるかのよう。

 

冒頭の

「青春の病に侵され

儚いものばかり求めて

いつの日か粉になって散るだけ」

は、青春の刹那性を理解しながらそれを追い求めてることを歌ってるのかと思ったんだけど、

ラストの

「青春のきらめきの中に

永遠の光を見ないで

いつの日か粉になって知るだけ

青春の儚さを…」

は、青春の刹那性への不理解に、それが永遠には続かないことを諭してるように聴こえるから、私にはまだ理解力が足りない…それとも、理解と不理解が共存しちゃうような定まらないつぎはぎな感じが正に「青春病」なんだろうか?

思えばこの曲の歌詞はやけに右往左往して悩み苦しんでいる気がする。未熟と成熟を行ったり来たり。最初は悩める若さを爽やかに歌っているのかと思ったけど、もしかしたら本当は「"青春"なんていう言葉で飾られた葛藤の時期から早く脱出したい」と願う、こちらもある種の祈りの曲なのかもしれない。それならば、「青春にサヨナラを」という一見爽やかでキャッチーな歌詞は「葛藤から抜け出したい、解放されたい」という心の叫び。

そして、これは「青春」を学生時代のような限られた期間を意味する言葉と取るか、もっと広義の言葉と取るかで聴こえ方もかなり変わってくるし、「いつの日か粉になって散るだけ/いつの日か粉になって知るだけ」の「粉」の意味とかも変わってきそうですね…

この曲をちゃんと理解するにはまだ時間がかかりそうです。精進します…(笑)


16.さよならべいべ

いやぁ、この曲順、素晴らしいですよね。

正直、「死ぬのがいいわ」が終わった時、「この後さよならべいべ?曲の感じ結構ガラッと変わるけどそのまま行くのかな?」なんて思ってたらここで新曲ですよ。

歌詞の中に演歌のような世界観を持つ「死ぬのがいいわ」の後に、メロディーに演歌の要素を漂わせる「へでもねーよ」を持ってきて、その次にもうひとつの新曲としてガラッと雰囲気を変える「青春病」。ガラッと雰囲気を変える役割は既に「青春病」が果たしているので、そのままスムーズに「さよならべいべ」に入れる。

「ですよね!!新曲入れるならそこしかないですよね!!!」って感じ。完璧じゃないですか…いや、そりゃご本人が一番分かってるでしょって感じではあるんですが、やっぱり公式と解釈が一致すると自然と嬉しくなっちゃうよね。

 

「さよならべいべ」が始まるところでひとつこの感動があって、更に「さよならべいべ」を聴きながらもうひとつの感動があった。それは、これまで上京ソングとして聴いてきたこの曲がライブ終盤のお別れソングとしてぴったりな曲であったということ。

数え切れないほど聴いてきたはずのこの曲がここに来て全く違う意味に聴こえてくることに驚き感動すると共に、これだからライブって面白いし、曲って面白いなぁと嬉しくなりました。

 

「さよならがあんたに捧ぐ愛の言葉

わしかてずっと一緒におりたかったわ

別れはみんないつか通る道じゃんか

だから涙は見せずに さよならべいべ」

とかめちゃくちゃライブ終盤にぴったりじゃないですか。

 

「さよならべいべ」ってアルバムで聴くと大切な「あんた」から離れて新しい場所(東京)に行って新しい人々(私たち)に出会う覚悟を歌っているから、この解釈に存在する"私たち"は完全なる他者というか外側の人間なんですよね。

だけどこれをライブで聴くと私たちが大切な「あんた」の立ち位置にいる訳です…ライブが終わって私たちと離れる寂しさと新しいステージに進んでいく覚悟を歌っているように聴こえる。「べいべ」って岡山のことじゃなくて私たちのことだったの…?なんて思えてしまう。
藤井風さん天才か…?あ、天才だったわ。

 

手を振って盛り上がれるのも楽しい。

 

「さよならべいべ」終わりで最後のMC。band memberとAndroid役のヒロムさんのご紹介、そしてライブに携わった全てのスタッフさんへの拍手を。

そして最後に、「なんとか今日まで生きてきて、大変な状況の中、このライブを見に来てくれたあなた、一人ひとりのあなたに拍手を」(だいぶ曖昧な記憶ですがこのようなことを仰っていたはず)と。「皆さん」じゃなくて「あなた」と一人ひとりに語りかけるように言う風さんが素敵でした。


17.帰ろう

ライブのラストにこれ以上相応しい曲はありません。今日の帰路の曲でもあり、この先の人生の道標でもある曲。

「わしはずっともがいてます。もがきながら生きていきましょう。」と伝えてくれました。

ちょっとこの曲は胸がいっぱいで特に記憶が飛んでるかもしれない…

 

「帰ろう」のMVで赤い風船が飛ぶところで武道館では白い羽根がたくさん飛んだのがすごく良かったなぁ。白い羽根がたくさん過ぎてステージ上も羽根だらけになって、風さんが羽根に包まれてました。良い景色。

風さんの頭にも3,4枚くらい付いたまま最後にご丁寧なお辞儀。そのまま箱が降りて消えていったからやっぱり風さんは天使なんだと思う。解釈の一致ですね。ありがとうございます。

 

ライブのオープニングが「帰ろう」のストリングスだったからこのまま時間がループしてまた「アダルトちびまる子さん」が始まって、永遠にこの世界の中にいられたらどれだけ幸せだろうかと思ったけど、始まりがあれば終わりがある。時間は有限だからこそ尊いものなんですよね…

幸せな時間をありがとうございます。

 

最後に

混沌とした2020年にメジャーデビューを果たした藤井風さん。既に観客を入れているところ、まだ入れられないところ、それぞれに様々な状況がありますが、対策を講じながら観客有りの生配信で武道館ライブを行ったことはエンタメ界の光になったと思います。

私も画面越しではありましたが、初めて風さんのライブを観ることができてとても幸せで満たされた気持ちになりました。

「生でも、画面越しでも、心の距離は一緒です!」と言ってくれた風さんの言葉は紛れもなく本当でした。

 

独自の「藤井風」という世界を持った風さん。当然ながら私は風さんの全てを知っている訳ではないけれども、知りうる限りの風さんの生き方や作品を見てきて強く感じたのは、風さんは価値基準が自分の外側ではなく、自分の内側にある人だということ。相対的ではなく、絶対的な価値判断が出来る人だということ。

 

武道館ライブを観て、この先の風さんの活躍が更に楽しみになりました。もっと高く、もっと遠く羽ばたいてくれると強く信じています。

 

しかし、人類はいつになったら自分が見たものを脳内に録画できるようになるんでしょうかね?いつまでも覚えておきたいライブなのに、もう既に記憶が曖昧です。多分所々記憶も捏造しちゃってる…

ということで、武道館ライブの円盤化を正座してお待ちしております。何卒、よろしくお願い致します。

報ステ藤井風特集 書き起こし

報ステ特集】藤井風さんコロナ禍で共感…死生観(2020年9月22日)

ナレ:ナレーション(沢城みゆきさん)

風:藤井風さん

 

ナレ:藤井風さん、23歳。

風:お願いします。

ナレ:5月、ファーストアルバムが1位を取りました。ですが、まだ音楽番組や音楽雑誌で彼の思いを聞いた人はいません。語るのは、YouTubeの中です。世界へ、自分で伝えることにこだわっています。

 風さんの原点は、去年まで暮らしていた岡山県の小さな町、里庄町にありました。喫茶店を営む音楽好きの一家に生まれ、小学校が終わる頃からYouTubeにピアノ動画の投稿を始めます。高校卒業後も続けた活動、小道具も全て自分で考えました。

風:岡山はもうほんま20年以上、もう岡山から一歩も出んぐれぇの覚悟で育って、親が別に東京やこ出んでええって言うから出んかったし、で、わしもそんななんかインターネットもあったし、どっか行ったからなんかができるとかそういう考えはあんまりなかったかもしれないですね。

ナレ:インターネットの中、その才能はあらゆる地域の人に発見されていきました。デビューしても、このままどこまで行けるか実験中なんだそうです。

風:もともと確かにYouTubeで動画をつくることしかしとらんかったんで、わし個人的にはそんな変わらず活動させてもらえたかなぁっていう感じが強いかもしれないです。

ナレ:緊急事態宣言の頃、様々な批判や不満が牙を剥きました。

 そんな中、「コロナ禍で、恐怖に皆がジッと耐える毎日、神さま、素晴らしい音楽のギフトをありがとう。」

 在宅勤務などでネット時間が増えた人々の目に留まります。

風:「みんなな、今大変なことも多いじゃろうけど、落ち着いていたら絶対わしら大丈夫やけん。な?いつも冷静にね、優しく。」(Piano Live Streaming ピアノ弾き語りライブ配信Day2の映像より)

ナレ:そして、異例の現象も。アルバムの最後の曲に心を動かされた人々のコメントが次々と寄せられています。

風:「ああ〜……帰ろう〜」っていうのが降ってきて、死生観というか、老人ホームだとか病院とか終活セミナーやこうにもなんか行っとったりして、演奏とかしよった時期もあったんやけど、死ぬときのことを考えるっていうのは全然そんなネガティブな話とか怖い話とかじゃなくて、死ぬっていうか、もう帰るようなときのことを考えるってことが、じゃあ今どうやって生きていけばええんかなっていうことを考えるきっかけになるし、もしかしたらより良い今をみんな生きているんじゃないんかなって思うんで、誰かがちょっといい気分で人生を送れたりするために、音楽やっとるようなもんなんで、もうそれがわしにとってすべてっていうか、もうそれだけで、あの、生きていけます、わしは。

 (ファーストアルバムのタイトル)HELP EVER HURT NEVERは「常に助け決して傷つけない」っていう意味なんすけど、あの、うちの親父、おとんが大切にしとるいうか、わしによう聞かしとってくれた言葉でもあって、なんかもうすべてのことがそこにきゅきゅきゅーっと集約されとるような言葉じゃと思うたんで、わしも。うん。それを聞いたスタッフさんたちも「すごいええやん」いうて、言うてくれて、えー、わしは逆に「ええんですか?長くないですか?このタイトル。」とか言ようたんすけど、「いや、これで行こう」言うて、逆にわしも背中を押してもらいながら。そう、当たり前じゃと思っとったけど、なんかそんな人に言うたことなかったし、そんな考え方とか。そんな真面目な話せんので、わしも。でもなんかそういうところをこんな理解してくれる人たちに、わし東京で囲まれとるって思って。それはすごい嬉しかったし、ありがたいですよね。なんか、なんて言うんやろ、どこにおってもしっくり、ありがたいことにどこにおってもなんかしっくりこさせてもろうとんで。

ナレ:風さんはコロナ禍で新たな決断をしました。公演中止が相次いだ日本武道館で、観客を入れて行うライブに臨みます。

風:自分で発信するっていうことはいつまでも大事なことであり続ける思うんですけど、なんかそれを、そのやり方とか、あとは自分の音楽活動のスタイル、音楽のスタイルもですけど、あの、いろんなことしていきたいし、あの、常に進化していきたいなと思ってます。

ナレ:換気休憩など、考えられる限りの対策を取っての注目されるライブ。それは、新たな時代の先陣を切る希望の一歩になります。

中西健夫会長(コンサートプロモーターズ協会):やってもやらなくても非難は浴びると思うんですよ、それぞれの立場の方で。ただ「日本武道館でできるんだ」ということを言うと、ライブに従事している方に先が見えるような最初のスタートラインに立てると思います。

ナレ:来月、収束へ向かうのか、また拡大してしまうのか、わかりません。

風:このタイミングも、全部ギフトじゃと思っていますし、とんでもないときにデビューしてしもうたなという感じはあるんじゃけども、悲しかったり苦しかったりすることはあんまりなくて、こんな時期だからこそ、世の中にこの作品が届けられたんじゃろうなと思うし、みんなどうしてええかわからんで、困っとる人はいっぱいおると思うけど、そんなときだからこそ、互いに思いやることを諦めんでほしいって思うし。

ナレ:YouTubeで一人ひとりに届けてきた優しさは、今、多くの人に力を与えようとしています。

(「帰ろう」弾き語り)

藤井風「帰ろう」の楽曲とMVの相乗効果が凄い

どうも。

前回、藤井風さんについて異様に長いブログを書いて「これが最初で最後のブログかな…」などと思っていたはずなのに、「帰ろう」のMVがあまりにも素敵で凄くて、再びブログを書かざるを得ない状況となりました(笑)

また長々と書いていきますので、お時間のある方はラフな気持ちで読んでいただけたら幸いです。

 

はじめに

まず、大前提として「帰ろう」とは藤井風さんの楽曲です。

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こちらのジャケ写でお馴染み(?)、ファーストアルバム「HELP EVER HURT NEVER」に収録されています。

アルバムの発売自体は2020/5/20なのですが、この度、2020/9/4に「帰ろう」のMVが公開されました。

 

監督は児玉裕一さん。風さんがこれまでYouTubeでカバーしてきた楽曲たちのMVを監督してきた方。そんな方に、風さんが「この曲が日本語の歌詞で降りてきた時、この曲を出すまでは死ねん!この曲を出すためにもっと日本語の曲を用意せんと!って思いました」と言っていたこの曲を監督してもらうなんて胸熱展開すぎる。

なのでまずはそのMVをご覧いただきたいのです。今回のブログは徹頭徹尾このMVのことを書いていきます。

まず、アルバム発売から約3ヶ月半経ったタイミングでMV公開という流れがすごく良い…

アルバムを聴いている人たちの中でそれぞれの「帰ろう」の解釈が出来上がった状態で、解釈がより広がるようなこのMVが公開されてすごく幸せです。

視覚情報って強いから、やはりMVがあるとそちらに引っ張られる側面もあるような気がするんだけど、最初に聴覚情報だけで「帰ろう」について考えることができて、その後に新たな情報を得られるのは新たな楽しみ方をできるということでもあるので。

あと、純粋にMVが作られると必然的にこの曲の知名度が上がるし、ラジオでかかる回数も圧倒的に増える。ラジオから「帰ろう」が流れてきたらそりゃあファンも増えることでしょう。ありがとうございます。

 

タイトルでも触れたとおり、「帰ろう」のMVは楽曲(聴覚)とMV(視覚)の相乗効果が凄いのです。

なので、今回は映像の個人的解釈も含め、その辺について長々と書いていこうかと。

尚、引用部分は全て「帰ろう」の歌詞です。

 

1番

まず冒頭、道路の矢印から始まる訳ですが、この矢印が始まる場所は「生」と「死」を繋ぐ世界の始まりだと思っています。三途の川の始まり的な。

MVの冒頭、彼らはまだ矢印が始まる前の場所にいる。その一方でMVの視点は矢印が既に始まっている場所から彼らを見てる。

このMVに出てくる「彼ら」は、年齢も、おそらく国籍も、多種多様な人々。赤い風船を持った幼い男の子、高校生の女の子、ガラの悪そうなおじちゃん、松葉杖をついた怪我人、旅行者、手を繋いだカップル、スマホでずっと電話してるビジネスマン、老夫婦、その他にも様々。

彼らは最初、ソファーに集い、みんなでソファーを押しているのに、歩みを進めるとともにソファーから離れていく。

このMVの中でソファーが指すのは「人生そのもの」だと私は解釈しました。

つまり、ソファーを離れるということは人生を終えるということ。

彼らはあの瞬間人生を終えて、矢印(三途の川)に差し掛かろうとしている。

まだソファーに沢山の荷物を載せたままで。

 

それじゃ それじゃ またね

少年の瞳は汚れ

5時の鐘は鳴り響けど もう聞こえない

この曲、ストリングスがすごく良いんです。

ここからストリングスがビートを刻み始める。それとともに風さんがソファーを押しながら走り始める。

そして、5時を指す時計はストリングスのビートと同じ速さで秒針を刻む。

つまり、視覚と聴覚がマッチしている。

この秒針の動きがとても好きです。

 

それじゃ それじゃ まるで

全部 終わったみたいだね

ここもめちゃくちゃ好き…

ソファーを押しながら走る風さんの足を見てください。この足の刻み方までストリングスのビートと同じ速さなんですよ…

もうね、ストリングスのビートも秒針も風さんが走っている足の動きも全てが同じBPMなので観ていて心地が良すぎる。

 

そこからのサビです。

ああ 全て忘れて帰ろう

ああ 全て流して帰ろう

ソファーを押しながら走っていた風さんがここでソファーに飛び乗るこの開放感・解放感。

サビ前まで忙しなくビートを刻んでいたストリングスも、サビに入るとともに壮大で解き放たれたような音色に変わる。視覚と聴覚がマッチしすぎている。

 

あの傷は疼けど この渇き癒えねど

もうどうでもいいの  吹き飛ばそう

ここで彼らはソファーを押し出すように離していく。冒頭では風さんがソファーを押していて、彼らは何の力も加えずにただソファーから離れていくだけだった。だけど、サビでは風さんがソファーの上に横たわっていて、彼らはそのソファーを自分たちの力を加えて押し出していく。自らの意思で手放すように。

 

そして、誰かの手と手が引き離されていく。このMVでは「手と手」がすごく印象的に出てくる。

カップルは最初から手を繋いでいて、とある男女は序盤で手を取り合い、幼い男の子と高校生の女の子も手を取る。

 

さわやかな風と帰ろう

やさしく降る雨と帰ろう

ここでカメラが風目線(この"風"は自然現象の方の"風")になって、風さん(この"風"は藤井風の方の"風")の上を吹き抜けていくのが好き。「さわやかな風」になれた気分。

吹き抜けた風は壮大な大地まで行って、豊かな緑にやさしい雨を降らせる。

 

憎みあいの果てに何が生まれるの

わたし、わたしが先に 忘れよう

ここで横たわっていた風さんが起き上がって、進行方向を向く。この進行方向はおそらく「死」の方面ですよね…

そして、5時を指していた時計がまた出てくるんだけど、ここではサビのリズムに合わせて秒針が進むからさっきのビートを刻んでいた忙しない秒針よりもすごくゆっくり進む。

 

2番

1番が終わったところで、彼らが矢印の先に進んだことが示される。

1番では彼らは矢印がまだ始まっていない場所にいて、MVを観る私は矢印が既に始まってる場所からそれを観てた。その立ち位置が2番では逆転する。

矢印(三途の川の始まり)を踏み越えた彼ら。

ここで矢印を踏み越える瞬間、ソファーに載っていた沢山の荷物が道路に散らばっていく。ここからは持っていた沢山の荷物を手放していく時間。

そして、荷物が道路に散らばるこの瞬間、ここまでストリングスとピアノとパーカッションで進んできた楽曲に、ベースとドラムが加わる訳です。楽曲の構成が大きく変わる転換点で、映像でもそれまで抱えていた荷物が落ちて、視点も変わるという大きな転換点が現れる。

荷物が落ちると同時に初めてベースが鳴り出す瞬間がとても気持ち良いです。

本当に視覚と聴覚がマッチしすぎている(n回目)。

更にここで現れる「帰ろう」というタイトル。1番が終わってからタイトルが出てくるんですよ…つまり、あの矢印を踏み越えたところから本当の意味での「帰ること」が始まるという訳ですか…?

この一連の流れ、本当に気持ちが良いので注目して観てほしいです…

あと、1番では和音でピアノを弾いているのに、2番では単音で弾いているのもとても好き…

 

あなたは弱音を吐いて

わたしは未練こぼして

最後くらい 神様でいさせて

だって これじゃ人間だ

ここで、それまで彼らや風さん自身が押していたソファーを繋いで引率する車が現れる。

なぜ矢印を越えたところでこの車が現れたのか。

私は、「ソファー=人生そのもの」、「風さん=生の概念」、「車・車に乗っているおじいさん=案内人」なのかなと思いました。

矢印を越える前までは自分たちの力でソファーを押し進めたり、そこに飛び乗って流れを身を任せたりしていたけれども、矢印を越えて着実に死へ向かう中であの車が進むべき世界へ連れていく。

 

わたしのいない世界を

上から眺めていても

何一つ 変わらず回るから

少し背中が軽くなった

「わたしのいない世界」を想像して肩の荷が降りた時、ソファーを引っ張ってきた車は止まり、案内を終える。

ソファーも、ソファーに座る風さんも、ソファーと並んで歩いていた彼らも、それに合わせるように歩みを止める。

 

それじゃ それじゃ またね

国道沿い前で別れ

続く町の喧騒 後目に一人行く

案内人のおじいさんは役目を終え、「それじゃ」と一人で行き、風さんも「それじゃ」とおじいさんに別れを告げる。

おじいさんの車が岡山ナンバーなのがなんとも粋です(風さんの出身地は岡山)。

 

私はMVが公開される前にこの楽曲を聴いていた時、「国道=三途の川」、「町の喧騒=人々が生きてるこの世界」のメタファーなんじゃないかと思ったんですよね。

だから、この歌詞は家族や友人みんながいるこの世界を後目に、一人で三途の川に入っていく様子を想像してた。

 

そして、MVではおじいさんが案内を終えたこの場所こそが三途の川の終着点なんじゃないかと感じたんです。

ここが、生と死の繋ぎ目。ここから先は死後の世界。

だから、「生の概念」である風さんはここから先には進めない。

 

ください ください ばっかで

何も あげられなかったね

生きてきた 意味なんか 分からないまま

ずっと赤い風船を持っていた男の子は、車を見送った後、まるで何かに気付いたかのように風船を手放す。

みんなが空をのぼっていく風船を眺め、それと同時にここまで手を取り合って歩いてきた男女が手を離す。

これまで速く進んだり、ゆっくり進んだりしていた5時を示す秒針は、ここで巻き戻る。今度はドラムのリズムに合わせて。

そしてどんどんと空にのぼっていく沢山の赤い風船。圧巻の景色です。

 

ああ 全て与えて帰ろう

ああ 何も持たずに帰ろう

与えられるものこそ 与えられたもの

ありがとう、って胸をはろう

風船を手放した幼い男の子が、沢山の赤い風船がのぼっていく中で先陣切って一人だけ歩いていくのがすごく印象的。

ここではやはり「赤い風船」が何を表すのか、ということが大事な鍵になってくるんですよね。

私は二つの説を考えました。

一つは、この赤い風船こそが「誰かに与えられたもの」もしくは「誰かに与えたもの」の象徴だということ。だからこそ空に浮かぶ沢山の風船を見て、それが走馬灯のように彼らの人生の中での沢山の思い出を思い浮かばせたのかな?と思ったんです。

二つ目は、あの赤い風船は「執着」の象徴のようなものなんじゃないかと。執着は、自分の手元に持っているときは苦しいのに、手放したら思い出などという、綺麗なものにも変わりうる。

今回は、「執着」説を取ることにしました。

執着って色んな執着があるけど、あの瞬間男の子が手放したのは「生」への執着なんじゃないかって。一番幼いからこそ最初に生への執着を手放すことができて、生への執着を手放したからこそその先にある世界へ一人で歩き出したのかな。

では、何故あの男の子だけが赤い風船を持っていたのか。

それは、あの子が唯一手に持てるだけの数の執着を持っていたから。つまりは一番執着を持っていなかったから。

生きている年数が長くなればなるほど、人は持ちきれないほどの執着を抱えていく。だから、あの子が赤い風船を手放した後に空を飛んでいった沢山の風船は、きっとあそこにいた彼らが抱え込んでいた沢山の執着や未練なんだと思う。自分の心の中に抱え込んでいた沢山の風船が解き放たれて飛び立つ様子を見て初めて、彼ら自身もまた解放されたような清々しい表情を浮かべていく。

 

待ってるからさ、もう帰ろう

幸せ絶えぬ場所、帰ろう

去り際の時に 何が持っていけるの

一つ一つ 荷物 手放そう

そして、それぞれが最後まで抱え続けていた荷物を手放して、"何も持たずに"帰っていく。

ガラの悪そうなおじちゃんはサングラスを外し、ずっとスマホで電話をしていたビジネスマンはスマホをおろす。ずっと手を繋いで歩いてきたカップルはお互いの手を離して別々に歩んでいき、旅行者らしき女性はバックパックをおろす。松葉杖をついていたはずの怪我人も松葉杖を手放して歩き出す。

 

憎み合いの果てに何が生まれるの

わたし、わたしが先に 忘れよう

 

あぁ今日からどう生きてこう

風さんは「生の概念」だからこの先へは進めないし、風さんから離れるということは、「生」から離れるということ。

この先に待つのはおそらく死後の世界なんだよね。

みんなが自分から離れてその先(死)へ進んでいく様子を見届けた風さんは、笑顔で手を広げ、消える。その姿は沢山の羽根に変わる。もしかしたら彼は天使だったのかもしれないな。

この手を広げるときのハンドサイン、おそらく意味があると思うんだけど、私の教養レベルではとても読み取れなかった…「仏教の印相なんじゃないか」とか、「瞑想のハンドサインなんじゃないか」とか、色々お見かけして調べてみて、「来迎印かな」とか考えたりもしたけど、付け焼き刃にも満たない私の知識では全然確証が得られない…教養が足りない…(泣)

 

そして2番のサビになって突如現れる社交ダンスを踊る男女。最初は全然分からなかったんだけど、観ているうちにあの印象的な色が鍵になるんじゃないかと思い始めた。

女性は赤、男性は黒を身に纏っている。赤といえば先程の「赤い風船」。つまり、「赤=執着」。そして、黒は喪服の黒。つまり、「黒=死」。ちなみに、「生の概念」である風さんは白を身に纏っていたということを考えると、社交ダンスの男女もまた概念の擬人化なのかもしれない。

赤い風船が空に飛び立つことで歩いていた彼らは生きることの執着から解放されて、死に向かっていく。執着が生から離れたタイミングで、今度は赤い女性(執着)と黒い男性(死)が結びつく。

だけど、この男女も最後の最後にはまた離れていくんだよね。

そして、その次に何が映るのかというと、風さんが幼い子どもに風船らしきものを手渡すところなんです。顔は映ってないけど、あの手はおそらく風さん。

いや…素晴らしすぎないですか…???

つまり、それは死の後の新たな生命の始まり。「生の概念」である風さんが、新しい生命に繋げていく。執着が生から離れ、死と出会い、また死と別れ、次の誰かの生として生まれ変わる。という解釈をしてもよろしいか…?

だって、赤い風船を手放すことで死に向かっていく様子を表現した後に、赤い風船(執着)を手渡す描写があるということは、それはもう新たな生命の誕生を意味するじゃん…

 

ちなみに、何故執着が生まれ変わりを意味すると私が解釈しているのかというと、「もうええわ」の解説動画に行き着く訳ですが。

風さんはこの中で、「1番の終わりに隠しメッセージがある」と言っていて、そのメッセージとは「人は身体への執着を手放した時に初めて生死のサイクルから解放される」というもの。めちゃくちゃスピリチュアル。

つまり目指すものは「輪廻転生からの解脱」だということですよね…?

だから、執着を手渡すということは、生死のサイクルから抜け出せなかった、つまり輪廻転生を意味するのではないかと。

ただ、この辺も私の教養が全然足りていないのでちゃんと読み取れているか全く分からないのですよね…無知の状態で深く言及はできないな…

 

このシーンでは、優しく幼子の手を包み込むように手渡す訳ですが、これは1番のサビでの手と手が引き裂かれるかのような描写と対比になってるのかなと思ったり。

このMVでは「手の描写」がすごく大切に描かれている気がする。手を繋いだり、取り合ったり、手放したり。まるで「手と手の繋がり」で「命の繋がり」を表現しているかのよう。

 

そして、風船を手渡した後に何が映るのかというと、羽根が舞う中での空のソファーですよ。何も積んでいないソファー。

これは、人生の終わり(全て与え終えた状態)とも言えるし、人生の始まり(まだ何も持っていない状態)とも言える。

これもまた、輪廻転生を感じさせる描写なんですよね…

更に言うならば、空のソファーが映った瞬間、「帰ろう」のタイトルが再度現れるんです。つまり、「帰ろう」という文字が表示されている間は人生の終わりを表してる。そしてこの時は無音。

だけどこの後、無音状態から喧騒のような音が戻ってくるんです。ザワザワした音。

私が「帰ろう」を聴いた時に感じたように、もし「町の喧騒」が「人々が生きているこの世界」のメタファーなのだとしたら、この喧騒が意味するのは、「生」。

つまり、「帰ろう」の文字が消えてザワザワした音が現れてからは人生の始まり(生)を表してる。

 

このMVの何が凄いかって、ラストの歌詞、

あぁ今日からどう生きてこう

を映像の力で表現してるところじゃないですか?

楽曲を聴いた後も、MVを観た後も、散々「死」について考えさせられてから最後の最後に「生」に引き戻されるので、「あぁ、私まだ生きてるんだった。今日からどう生きてこう。」っていう気持ちになるの、本当に凄い。

視覚と聴覚がマッチしすぎている(n回目)。

 

そして、ラストのラスト、最後に映るのはあの高校生の女の子が一人だけ立っている姿。

なぜ一人だけ残っているのか。

思い返せば、彼らが皆荷物を手放し、解放されたような表情をして「死」へと向かっていったけど、彼女にはどちらの描写もなかった。

つまり、彼女はあの時立ち止まり、「死」へと向かわなかったことでまだ生きている存在なのか。それともまだ「生と死」の境を彷徨っているのか。それとも死後も執着や未練を捨てきれずにいるのか。

もし彼女が自分の中の赤い風船(執着)を手放せなかったのだとしたら、最後に新たな命に手渡された赤い風船は彼女の執着だったのかもしれない。

あの瞬間輪廻転生したのは彼女の魂だったのかな?

 

最後に

風さんは、「帰ろう」のMVについても解説動画を公開しています。

生きることはもがくことなんだなぁ。素敵です。

これまでの解説動画の中で、「帰ろう」は最も多くを語っていない解説動画だと思う。

その答えは、YouTubeの公式チャンネルのコミュニティにありました。彼はコミュニティに「語り尽くせないのと同時に、何も語らなくていい、そんな作品ですが、なにか皆さんのお役に立てたら」と書いています。この投稿を見た時、「本当にそうだな」と思いました。私はどうしたって「解釈や意図に正解があるのなら正解を知りたい」と思ってしまうけど、このMVは多くを語られない方が人それぞれに沢山の解釈が生まれ、広がるなぁと。

このMVは、観る人によっても解釈が変わるし、同じ人が観てもタイミングや環境が変われば見え方も変わるものだと思う。

この作品と共に人生を歩んでいきたいと思わせてくれる楽曲であり、MVです。


こんなに素晴らしい楽曲の世界観を表現できるMVを作ってしまう児玉監督は本当に凄い。

そしてそれは「帰ろう」という楽曲に魅力があるからこそ生まれたもの。

だから、こんなに素晴らしいMVを生み出す原動力となった楽曲も本当に凄い。

楽曲の素晴らしさに感動するとき、MVの素晴らしさに気付く。

MVの素晴らしさに感動するとき、楽曲の素晴らしさに気付く。

楽曲とMVの相乗効果にただただ感服することしかできません。

何度でも観たくなる、まさにスルメMVです。

 

「幸せに死ぬためにはどう生きたらええの?」

風さんが「帰ろう」について語る時、何度も口にしてきた言葉です。この言葉について改めて考えてみた時、死に様がその人の生き様を決めるのではなく、生き様がその人の死に様を決めるのかもしれないと気付けました。

最期に ありがとう、って胸をはれるように 生きていきたいな。

 

ここまで読んでくださった方の中で「帰ろう」のMVを今すぐ観たくなった方もいらっしゃるかもしれないので、最後に再度MVのリンクを貼っておきます!!何回でも観ましょう!!

 

そして、「帰ろう」が収録された藤井風さんのファーストアルバム「HELP EVER HURT NEVER」は公式HPのこちらから購入できます。まだの方はぜひどうぞ(ダイマ)。

 

またまた長文ブログを書いてしまいましたが、ここまで読んでくださった方がもしいらっしゃるならば、本当にありがとうございました。